6. コラーゲンパウダーを用いたミコナゾール含有義歯性口内炎治療薬の開発
【目的】B.Jorgensenは義歯粘膜面に塗布し, 持続的にミコナゾールを放出しカンジダを減少させる“デンチャーラッカー”というカンジダ起因性義歯性口内炎治療薬の有用性を示した. 私達は, 安全性の面において優れる生体由来材料による同様のドラックデリバリーシステムを開発することを目的に, 接着性タンパク質を応用して, ミコナゾールを低濃度で一定時間, 義歯粘膜面に保持し, カンジダ起因性義歯性口内炎を治療する新しい技術の検討を行った. 【方法】菌株はCandida albicans JCM 1542, 薬剤は硝酸ミコナゾール(以下, MCZ), 接着性タンパク質として魚の鱗から抽出したコラー...
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Veröffentlicht in: | 松本歯学 2004, Vol.30 (2), p.204-204 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】B.Jorgensenは義歯粘膜面に塗布し, 持続的にミコナゾールを放出しカンジダを減少させる“デンチャーラッカー”というカンジダ起因性義歯性口内炎治療薬の有用性を示した. 私達は, 安全性の面において優れる生体由来材料による同様のドラックデリバリーシステムを開発することを目的に, 接着性タンパク質を応用して, ミコナゾールを低濃度で一定時間, 義歯粘膜面に保持し, カンジダ起因性義歯性口内炎を治療する新しい技術の検討を行った. 【方法】菌株はCandida albicans JCM 1542, 薬剤は硝酸ミコナゾール(以下, MCZ), 接着性タンパク質として魚の鱗から抽出したコラーゲンパウダー(以下, コラーゲン)を供試した. 実験1;抗真菌剤感受性試験法により, MCZの薬剤最小発育阻止濃度の測定を行った. 実験2;コラーゲンを用いてMCZ塗布剤を作製し, レジンプレート上に塗布し, C.albicansに対する抗菌性試験を行った. 実験3;コラーゲンを用いた1μg/ml MCZ塗布剤と, 抗真菌剤(フロリードゲル経口用)のMCZ濃度を1μg/mlに調整したものとの抗菌性の比較を行った. 【結果】 1)C.albicansに対するMCZのMICは0.01μg/mlであった. 2)コラーゲンはMCZの抗菌活性に影響を示さなかった. 3)MCZ濃度0.1μg/ml及び0.01μg/mlのときC.albicansの致死量は75%であった. 4)MCZ濃度1μg/mlのときC.albicansの致死量は100%であった. 5)コラーゲンを用いたMCZ濃度1μg/ml塗布剤は, MCZ濃度 1μg/mlに調整した抗真菌薬より強い発育阻止を示した. 6)コラーゲンを用いてミコナゾールを塗布することにより, レジンプレート上のC.albicansの発育を阻止した. 【考察】コラーゲンによるミコナゾールの塗布が, カンジダ起因性義歯性口内炎を治療する新しい方法として効果的であることが示唆された. また, B.Jorgensenらが発表した, 従来のミコナゾールラッカーの55μg/mlより極めて低濃度の1μg/mlでC.albicansの成長を抑制することができた. 今後は, 低濃度のミコナゾールを義歯粘膜面により長時間保持できるように, コラーゲンの改良が必要であると考えられる. |
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ISSN: | 0385-1613 |