14. 光造形モデルの歯の移植への応用

「目的」:近年におけるCAD/CAM(computer aided design/computer aided manufacture)の発達には目の見張るものがある. これまで当歯科矯正学講座においても, これらの技術を応用し, コンピュータセットアップ法やそれを用いた矯正装置の作製など, 新しい歯科矯正治療に取り組んできた. 本邦において目覚しく発達している技術の1つに上述のCAMの分野である光造形技術がある. 今回この技術と本学ですでに開発されている3DXデンタルトモグラフィーの技術を応用し, 立体歯根モデルを作成し, 歯の移植法に応用したので紹介する. すなわち今回の研究の目的は, X...

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Veröffentlicht in:松本歯学 2003, Vol.29 (3), p.312-312
Hauptverfasser: 栗原三郎, 松浦健, 薄井陽平, 新井嘉則, 古澤清文
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」:近年におけるCAD/CAM(computer aided design/computer aided manufacture)の発達には目の見張るものがある. これまで当歯科矯正学講座においても, これらの技術を応用し, コンピュータセットアップ法やそれを用いた矯正装置の作製など, 新しい歯科矯正治療に取り組んできた. 本邦において目覚しく発達している技術の1つに上述のCAMの分野である光造形技術がある. 今回この技術と本学ですでに開発されている3DXデンタルトモグラフィーの技術を応用し, 立体歯根モデルを作成し, 歯の移植法に応用したので紹介する. すなわち今回の研究の目的は, X線写真から立体歯根モデルの作成が可能か否か, またそれが歯の移植に応用可能か否かを見極めることである. 「方法」:本学付属病院矯正科を来院した顎変形症患者(24歳, 女性)に対し, 本学口腔顎顔面外科との合同カンファレンスの際に下顎骨の矢状分割手術と, カリエスのために抜歯されていた下顎右側第1大臼歯の部位にディスクレパンシーを解消する目的で抜歯される上顎左右側第1小臼歯のうちの右側第1小臼歯を移植することが決定された. 上顎第1小臼歯部の3DXデンタルトモグラフが撮影され, 各断層像をパーソナルコンピューターにより3次元構築し, 上顎右側第1小臼歯の歯根モデルを作成した. さらに, その歯根モデルをシリコン印象し, 硬石膏により複製モデルを作成した. その複製モデルを乾燥滅菌し, 歯の移植手術に備えた. 手術に先立ち, 予め採得されていた下顎の歯列弓モデルの複製を用い, 下顎右側第1大臼歯部に上顎の第1小臼歯の移植が可能か否か検討した. その結果, 下顎右側の第2小臼歯遠心部と第2大臼歯近心部の削除と上顎第1小臼歯を若干回転させて移植する必要性が術前に理解された. また移植手術に際し, 移植部に複製の歯根モデルを直接試適しながら, 下顎右側第1大臼歯部の歯槽骨削除, 形成を行った. 「結果」:3DXと光造形を応用して, 作製した立体歯根モデルを歯の移植法へ応用したところ, 術前の移植歯の位置決定ならびに歯槽骨の削除, 形成に著しく効果的であった. また, 移植された歯は術後約2ヶ月を経過しているが, 臨床的に問題は生じていない. 「結論」:3DXと光造形を応用した立体歯根モデルの作成は可能であり, 歯の移植への応用は充分可能であった.
ISSN:0385-1613