5. 直流性筋電図からみた咬筋の終板電位発生部位
目的:筋肉の電気活動には神経-筋接合部におけるシナプス性電位とその後に生じる伝導性の活動電位がある. 皿電極を用いた通常の筋電図採取では双極性に記録されるのが一般的であるがこれはしかし伝導性電位の記録には向くがシナプス性電位の記録にはあまり向かない. 一方適当な電位固定点さえあれば筋電位活動は皿電極での単極導出も可能であり, この場合記録帯域を低周波まで広げるとシナプス性電位も同時に記録できるはずである. この方法は解剖学的な神経同定を更に具体的にすることができると考えられる. 方法:鼻尖を電位の固定点とし咬筋表面の8ヵ所から皿電極のアレイを用いて電位の単極導出を行った. アンプ帯域は0.08...
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Veröffentlicht in: | 松本歯学 2003, Vol.29 (2), p.204-204 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:筋肉の電気活動には神経-筋接合部におけるシナプス性電位とその後に生じる伝導性の活動電位がある. 皿電極を用いた通常の筋電図採取では双極性に記録されるのが一般的であるがこれはしかし伝導性電位の記録には向くがシナプス性電位の記録にはあまり向かない. 一方適当な電位固定点さえあれば筋電位活動は皿電極での単極導出も可能であり, この場合記録帯域を低周波まで広げるとシナプス性電位も同時に記録できるはずである. この方法は解剖学的な神経同定を更に具体的にすることができると考えられる. 方法:鼻尖を電位の固定点とし咬筋表面の8ヵ所から皿電極のアレイを用いて電位の単極導出を行った. アンプ帯域は0.08-3000Hz, サンプリングレイトは4000Hzで1200ポイント記録した. 被験者には連続して15回かみしめ動作をしてもらった. 解析項目は各チャンネルにおけるシナプス電位の大きさ(基線基準波形面積), 活動電位の大きさ(整流波形面積), 活動電位の位相(相関係数)の3点でそれぞれ15回の平均をとった. 磁界変動を利用して電極変位に伴った電位の発生状況も同時に測定した. 結果:記録された波形には伝導性活動電位と同時に各チャンネルに異なった陰陽の低周波成分が乗っていた. デジタルフィルターを通してみた陰性成分は下顎角に近い部分で最も大きく記録されたが, 頬骨付近では陽性に転じていた. 伝導性活動電位も同様な場所で位相が転換していた. 活動電位の大きさは低周波成分の陰性電位が最大近辺でやはり最大を示した. 磁界を用いた電極変位に伴う電位はほとんど記録されなかったのでこの低周波信号に電極部分の接触電位のようなものがアーチファクトとして混入している可能性は少ない. 結論:低周波信号と活動電位の大きさの一致, それらの時間経過の同期, 低周波信号と活動電位の極性転換からみて, 記録された低周波の陰性電位はシナプス部の筋内部への吸い込み電流を外部記録したものであることは明らかである. このことから咬筋の神経-筋接合部位は中央部よりかなり下顎側に寄っていると結論でき, これは他の筋とかなり異なっている. |
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ISSN: | 0385-1613 |