9. 顎関節症IV型における各種X線撮影法の検出能

「目的」:顎関節学会による顎関節症の分類で, X線検査(顎関節腔造影検査を除く)で診断可能なものは, IV型のみである. 顎関節の撮影には多数の種類があるが, 患者の負担(被爆線量, 経済的等)を軽減するためにも, 診断に必要な検査のみを行わなければならない. そこで, 放射線検査室で行われている撮影法について, 下顎頭骨変形の抽出能を検討した. 「材料と方法」:被写体は乾燥頭蓋骨右側顎関節とし, 下顎頭前縁にX線不透過性の光重合型コンポジットレジン(ライトフィルII, 松風)を幅約1cmで, 厚さ0.5, 1.0, 1.5, 2.0mmの4種類に分けて付加し, 骨棘を形成した. 頭蓋骨を水中...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:松本歯学 2001, Vol.27 (2/3), p.171-171
Hauptverfasser: 音成貴道, 黒岩博子, 塩島勝, 藤木知一, 内田啓一, 深澤常克, 児玉健三
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」:顎関節学会による顎関節症の分類で, X線検査(顎関節腔造影検査を除く)で診断可能なものは, IV型のみである. 顎関節の撮影には多数の種類があるが, 患者の負担(被爆線量, 経済的等)を軽減するためにも, 診断に必要な検査のみを行わなければならない. そこで, 放射線検査室で行われている撮影法について, 下顎頭骨変形の抽出能を検討した. 「材料と方法」:被写体は乾燥頭蓋骨右側顎関節とし, 下顎頭前縁にX線不透過性の光重合型コンポジットレジン(ライトフィルII, 松風)を幅約1cmで, 厚さ0.5, 1.0, 1.5, 2.0mmの4種類に分けて付加し, 骨棘を形成した. 頭蓋骨を水中に沈め, パノラマX線撮影, パノラマ顎関節撮影(パノラマ4分画), 側斜位経頭蓋投影法(Schuller法), 眼窩下顎枝方向投影法(オルビトラムス投影法), 直線断層撮影(セクトグラフ)を撮影した. 5種類の骨棘(なし, 0.5, 1.0, 1.5, 2.0mm)と5種類の撮影法を組み合わせ, 計25枚のフィルムを歯科放射線医4名が観察を行い, 右側下顎頭の骨変形を5:ある, 4:あると思う, 3:分からない, 2:ないと思う, 1:ない, の5段階で評価を行った. 「結果と考察」:骨変形がある・あると思うを骨変形ありに, 骨変形がない・ないと思うを骨変形なしに分類した. 分からないを骨変形ありとなしのいずれかに含み, 検討を行った. 分からないを骨変形なしに含むと, パノラマX線写真, パノラマ4分画写真, セクトグラフでは accuracy, sensitivity, specificity, Positive Predictive Value(P.P.V.), Negative Predictive Value(N.P.V.)はほぼ同程度であったが, Schuller法, オルビトラムス投影法では低くなった. 分からないを骨変形ありに含むと, パノラマX線写真, パノラマ4分画写真, セクトグラフ, オルビトラムス投影法では同程度の値を示したが, Schuller法では低い値を示した. これらのことから, パノラマX線写真, パノラマ4分画写真, セクトグラフが骨変形検出率の高い検査法となった. オルビトラムス投影法は分からないが多く, これは下顎頭前縁の骨変化を観察するのには, 正面方向からでは困難であろうと推測される. パノラマX線写真は広範囲の観察が可能なため必要であろうと考えられる. パノラマ4分画写真はパノラマX線写真よりも骨変形の検出率が高く, 開閉口の撮影が可能である. セクトグラフは撮影のために軸方向撮影が必要で, その写真をトレースし, 角度・距離を分析することで撮影が可能となる. また, 片側・咬合位のみの撮影法である. これらのことから, 顎関節症IV型が疑われる患者の初診時のX線検査には, パノラマX線写真, パノラマ4分画写真を撮影するのが望ましいと考えられる.
ISSN:0385-1613