9. 歯科・頭頸部用小照射野X線CT装置(3DX MULTI IMAGE MICRO CT)の概要

歯科・頭頸部用小照射野X線CT装置 3DX MULTI IMAGE MICRO CT(以下3DXCTとする)は1992年から日本大学歯学部放射線学教室において, 西連寺永康先生, 現松本歯科大学学長と新井義則先生らによって, 歯科領域における局所的な病変を3次元画像として診断する目的で開発が進められてきました. その後, オルソCTとして1997年から臨床応用され約1900症例の撮影が行われた. このたびモリタ製作所との共同開発により薬事法の認可がおり, その1号機が2001年5月に本学歯科放射線科放射線検査室に設置された. 今回, 歯科・頭頸部用小照射野X線CT装置 3DX MULTI IM...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:松本歯学 2001, Vol.27 (2/3), p.156-157
Hauptverfasser: 内田啓一, 音成貴道, 黒岩博子, 藤木知一, 塩島勝, 深澤常克, 児玉健三
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯科・頭頸部用小照射野X線CT装置 3DX MULTI IMAGE MICRO CT(以下3DXCTとする)は1992年から日本大学歯学部放射線学教室において, 西連寺永康先生, 現松本歯科大学学長と新井義則先生らによって, 歯科領域における局所的な病変を3次元画像として診断する目的で開発が進められてきました. その後, オルソCTとして1997年から臨床応用され約1900症例の撮影が行われた. このたびモリタ製作所との共同開発により薬事法の認可がおり, その1号機が2001年5月に本学歯科放射線科放射線検査室に設置された. 今回, 歯科・頭頸部用小照射野X線CT装置 3DX MULTI IMAGE MICRO CTの概要について報告した. 「装置と撮影法」:撮影装置は中央に被検者用椅子があり, 2本の支柱により回転部が保持されている. 支柱に設置されている液晶画面において目的部位を設定すると, 撮影ポジションをXYZ方向のトリプルガイドビームにより撮影目的部位を自動的に設定する. 撮影はX線管と高感度高電子増倍管を被検者の周りを17秒で, 360度回転し, 撮影を行う. 画像再構成範囲は直径40mm, 高さ30mm円柱形であり, 画像を構成している最小単位ボクセルは一辺が0.125mmの正立方体である. 「画像構成」:高感度高電子増倍管から送られてくるボクセルデータを3DX専用ソフトで処理し3次元画像構築を行う. データ量はスライス幅1mmであり, 毎秒30枚, 計510枚である. パーソナルコンピュターの性能と使用OSは Windows 2000 professional, CPU Pentium IV 1.5GHz, HDは40GB×2, 外部記憶媒体は640MB光磁気ディスクである. 「考察」:3DXCTの検査目的の主なものはインプラントの術前, 術後の検査, 埋伏歯とくに下顎第3大臼歯と下顎管との位置的関係, 根尖病巣, 顎関節の形態の把握, 根分岐部病変の診断に有用である. 3DXCTを実際に臨床において使用し, その利点と今後の問題点としては, 利点としては体軸方向の解像度が高く根尖病巣や埋伏歯との位置関係の確認に有効であり撮影, 時間は短時間17秒であり, 患者への負担が少ないこと. また歯科用充填物のアーチファクトの影響が少なく, 実際に人工関節頭の撮影を行ったがアーチファクトはほとんど認められなかった. 1回の撮影で任意の3方向からの断層画像, 3次元画像を得ることができ, 画像構築が容易である. 問題点としては, CT値の計測ができない. データ量が多く処理・表示時間がかかることと, 画像保管の問題もこれにより生じてくる. また, X線高電子増倍管の光学的な歪み, ダイナミックレンジなどの問題もあり厳密な3次元データの再構築に問題があるかと思われた. 散乱線が多く, 低コントラストの被写体の抽出がやや困難であり, 軟組織の診断には適さないこともある. 画像を各科に配給する上での大きな問題点があり, 現在, 画像はMO, FD, 印画として各科に配給しておりますが, 3DXCTは3次元画像を比較的簡単に観察することができ, 3DXCTの本体がなくても, 専用ソフトにより各科外来にて画像を見ることができ, 病変の状態や治療方針の説明にも有用である. これからも多くの症例を3DXCTにより検討して, その臨床的な有用性と診断効力を推考していきたい.
ISSN:0385-1613