可撤性義歯装着後の咀嚼能力に影響する因子の検討
目的:新義歯装着後の咀嚼能力は,旧義歯と比較して装着直後に低下するとされるが,その後の経時的評価をした報告は少ない.今回,可撤性義歯を装着した患者を対象に咀嚼能力を経時的に評価し,新義歯装着後の咀嚼能力に影響する因子を検討した.方法:可撤性部分床義歯または可撤性全部床義歯を装着し,新義歯装着後初回および充分な調整期間後に有床義歯咀嚼機能検査により2回咀嚼スコア(術後検査①・②)を得た患者を対象とした.評価項目は性別,患者年齢(70歳未満/以上),グミ摂取経験の有無,Eichner分類(B群/C群),残存歯の有無および調整期間(1か月未満/以上)で2群に分別し,各検査時および術後2回の検査間にお...
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Veröffentlicht in: | 日本補綴歯科学会誌 2023, Vol.15(4), pp.474-482 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:新義歯装着後の咀嚼能力は,旧義歯と比較して装着直後に低下するとされるが,その後の経時的評価をした報告は少ない.今回,可撤性義歯を装着した患者を対象に咀嚼能力を経時的に評価し,新義歯装着後の咀嚼能力に影響する因子を検討した.方法:可撤性部分床義歯または可撤性全部床義歯を装着し,新義歯装着後初回および充分な調整期間後に有床義歯咀嚼機能検査により2回咀嚼スコア(術後検査①・②)を得た患者を対象とした.評価項目は性別,患者年齢(70歳未満/以上),グミ摂取経験の有無,Eichner分類(B群/C群),残存歯の有無および調整期間(1か月未満/以上)で2群に分別し,各検査時および術後2回の検査間において咀嚼スコアの比較検討を行った.統計は,咀嚼スコアの変化の比較にはWilcoxon signed rank test(P=0.05)を,2群間の比較にはMann-Whitney’s U test(P=0.05)を用いた.また,検査間の咀嚼スコアの変化の比較にはWilcoxon signed-rank test(P=0.05)を用いた.結果:術前検査と術後検査①を実施した患者は64名(男性31名,女性33名)で,平均年齢は72.3±7.2歳であった.さらに術後検査②を実施した患者は23名(男性9名,女性14名)で,平均年齢は71.8±6.4歳であった.新義歯装着直後の一時的な咀嚼能力への義歯の影響を確認するため,各検査間で咀嚼スコアを比較したところ有意差は認められなかった.患者23名について,術後検査①・②間の咀嚼スコアの変化と関連があった因子は,年齢,Eichner分類および調整期間であった.2群間の比較では,各検査時のすべての評価項目について咀嚼スコアに有意差はなく,咀嚼スコアに影響を与える因子は認めなかった.考察:本結果から,新義歯装着後の咀嚼スコアに影響を与える因子として,年齢,Eichner分類,調整期間が予想された.すなわち,新義歯装着後の咀嚼能力の評価には,年齢や咬合支持域を考慮し,さらに充分な義歯調整期間を経る必要があると考えられた.結論:新義歯装着後の咀嚼能力には咬合支持域や年齢が影響する可能性があること,新義歯装着後の咀嚼能力の評価には,充分な長期観察を経る必要があることが示唆された. |
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ISSN: | 1883-4426 1883-6860 |
DOI: | 10.2186/ajps.15.474 |