総義歯症例の難易度と治療時間の関係

目的:歯科治療の難易度に応じた治療時間を明らかにすることは,医療の経済性を勘案するうえで重要である.しかし,治療の難易度,術者の熟練度(経験年数),治療環境などによる影響を明らかにするために,実際の同一患者を用いて複数の術者が何回も同じ診療を行うことには倫理上問題が生じる.そこで,総義歯治療における治療時間と難易度の関係を明らかにするために,歯科医師が必要と意識している治療時間について調査を行った.本研究は,無歯顎患者の患者資料を見たうえでの歯科医師の予想治療時間と症例の難易度との関係を明らかにすることを目的とした. 方法:難易度の異なる無歯顎者3症例を公益社団法人日本補綴歯科学会の専門医(臨...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本補綴歯科学会誌 2014, Vol.6(4), pp.405-413
Hauptverfasser: 七田, 俊晴, 佐藤, 裕二, 北川, 昇, 関谷, 弥千, 大久保, 力廣, 山森, 徹雄, 上田, 貴之, 乙丸, 貴史, 木本, 克彦, 末瀬, 一彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:目的:歯科治療の難易度に応じた治療時間を明らかにすることは,医療の経済性を勘案するうえで重要である.しかし,治療の難易度,術者の熟練度(経験年数),治療環境などによる影響を明らかにするために,実際の同一患者を用いて複数の術者が何回も同じ診療を行うことには倫理上問題が生じる.そこで,総義歯治療における治療時間と難易度の関係を明らかにするために,歯科医師が必要と意識している治療時間について調査を行った.本研究は,無歯顎患者の患者資料を見たうえでの歯科医師の予想治療時間と症例の難易度との関係を明らかにすることを目的とした. 方法:難易度の異なる無歯顎者3症例を公益社団法人日本補綴歯科学会の専門医(臨床経験14年)が実際に診療を行い,その所要時間を記録した.この3症例の口腔内写真,研究用模型,症型分類の調査結果を日本全国の歯科大学7校の歯科医師(196名)に協力を依頼,提示した.そして,各診療ステップでの予想治療時間と治療回数の調査を行った.調査結果を集計し,各診療ステップの予想治療時間を算出した.後日,前回の資料に加えて集計したデータを提示し,再度同様な調査を行った(デルファイ法).さらに,臨床経験5年以上(95名)を抽出し,各診療ステップでの症例の難易度と予想治療時間を一元配置分散分析にて解析した. 結果:今回の調査結果から,症例の難易度による有意差が予想治療時間の総和において認められた.咬合採得や精密印象など,術者の熟練度(経験年数)が強く影響する診療ステップでは,症例の難易度が増すとともに歯科医師の予想治療時間も長くなった.しかし,臨床経験と予想治療時間との間に有意差は認められず,難易度の影響は小さかった. 結論:以上より,総義歯治療における症例の難易度は予想治療時間に関与することが示唆された.
ISSN:1883-4426
1883-6860
DOI:10.2186/ajps.6.405