2. 義歯装着患者の脳機能活性度に関する研究

「I. 目的」近年, 咀嚼と脳機能との関連について注目が置かれ, 様々な報告がなされている. なかでも, 咀嚼運動障害や歯の喪失により脳神経細胞の機能が低下すること, さらには精神的ストレスを受けることにより脳機能が低下するという報告が数多く見られる. そこで, 良好な補綴装置の装着により咬合機能を回復することによって脳機能の活性化が図られるのではないかと考え, 本研究を行った. 「II. 方法」鶴見大学歯学部附属病院補綴科を受診した義歯装着患者10名に対して, デンタルプレスケールにより咬合力および咬合接触面積を記録後, オクルーザーFPD-705(GC, 東京)によって解析を行い義歯の客観...

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Veröffentlicht in:日本補綴歯科学会雑誌 2008, Vol.52 (2), p.292-292
Hauptverfasser: 渋谷直志, 諸熊正和, 鎌田奈都子, 米山喜一, 小野寺進二, 大貫昌理, 細井紀雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 目的」近年, 咀嚼と脳機能との関連について注目が置かれ, 様々な報告がなされている. なかでも, 咀嚼運動障害や歯の喪失により脳神経細胞の機能が低下すること, さらには精神的ストレスを受けることにより脳機能が低下するという報告が数多く見られる. そこで, 良好な補綴装置の装着により咬合機能を回復することによって脳機能の活性化が図られるのではないかと考え, 本研究を行った. 「II. 方法」鶴見大学歯学部附属病院補綴科を受診した義歯装着患者10名に対して, デンタルプレスケールにより咬合力および咬合接触面積を記録後, オクルーザーFPD-705(GC, 東京)によって解析を行い義歯の客観的評価を行った. また, 義歯の装着感・満足度についてVASによる主観的評価を行った. 義歯装着時と非装着時における咀嚼後, 脳波を閉眼安静座位状態で測定し, シナプス・ニューロン機能劣化度測定法Dimension(脳機能研究所, 神奈川)によって解析を行った. 脳機能活性度はニューロン活動によって生じる活動電位が頭皮に達したものを定められた頭皮上の21箇所で3分間記録して, Dimensionで解析した. 統計解析はWilcoxonの符号付き順位検定を用いた. 本研究は鶴見大学歯学部倫理審査委員会の承認を得て行われた. 「III. 結果と考察」義歯装着時の咬合力および咬合接触面積は非装着時と比較し有意に増加し, VASにおいても装着時の咀嚼感や満足度が非装着時と比較して有意に大きい値を示した. また, 非装着時の咀嚼後脳波と装着時の咀嚼後脳波を比較すると, 1名の被験者を除いて装着時の脳機能活性度が大きくなることが認められた. これは, 良好な義歯を装着することにより精神的ストレスがなくなり, 咀嚼することにより脳内のニューロン活動が増え, 脳機能活性度が高くなることが推測された. 今後, 被験者数を増やしさらに詳細な検討を行う予定である.
ISSN:0389-5386