2. 骨吸収による歯周組織の応力分布変化‐非線形力学モデルによる解析
「I. 目的」歯槽骨高さの減少や歯根膜腔の拡大により臨床的な動揺度が増加した歯では, 歯周組織への咬合力による負担過重が生じると考えられることが多い. しかし, 骨の吸収に伴う歯周組織の応力変化については, 今日までその定量的な報告が不十分であり, このことは支台歯としての咬合力負担能力を診断する上でも問題となることがある. 本研究の目的は, 歯周組織の形態変化が同部の応力分布に及ぼす影響を明らかにすることである. 「II. 方法」上顎右側中切歯の解剖学的形態データを基に, 歯冠歯根比と歯根膜腔の厚さの異なる計4種類の有限要素モデルを構築した. 歯の動きを再現するため歯根膜の材料定数は非線形と...
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Veröffentlicht in: | 日本補綴歯科学会雑誌 2007, Vol.51 (2), p.386-386 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I. 目的」歯槽骨高さの減少や歯根膜腔の拡大により臨床的な動揺度が増加した歯では, 歯周組織への咬合力による負担過重が生じると考えられることが多い. しかし, 骨の吸収に伴う歯周組織の応力変化については, 今日までその定量的な報告が不十分であり, このことは支台歯としての咬合力負担能力を診断する上でも問題となることがある. 本研究の目的は, 歯周組織の形態変化が同部の応力分布に及ぼす影響を明らかにすることである. 「II. 方法」上顎右側中切歯の解剖学的形態データを基に, 歯冠歯根比と歯根膜腔の厚さの異なる計4種類の有限要素モデルを構築した. 歯の動きを再現するため歯根膜の材料定数は非線形とした. 各モデルには舌面中央部に歯軸から唇側方向へ45°傾斜した咬合力を付与した. 「III. 結果と考察」歯根膜腔の拡大は動揺度の増加をもたらすが, 歯根膜線維への応力を緩和する働きを示す. すなわち, 歯根膜はその厚みを変化させることで咬合力を調整ずる働きが応力の観点から示唆された. また, 皮質骨唇側歯頸部における最大圧縮応力は歯根膜腔厚や歯冠歯根比に関係なくヒト皮質骨の耐力を下回る. よって咬合力相当の荷重では機械的損傷を生じる可能性は低いことが示唆された. 今後, 繰り返しの咬合力荷重による応力推移についての検討が必要と考えられる. 「IV. 文献」1. Ralph WJ. Tensile behaviour of the periodontal ligament. J Periodontal Res 17:432-426, 1982. 2. Biewener AA. Safety factors in bone strength. Calcif Tissue Int 53 (Suppl 1):68-74, 1993. |
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ISSN: | 0389-5386 |