19. 口腔習癖に対する補綴的アプローチ―下顎の異常運動を呈した症例

「I. 緒言」ブラキシズムなど下顎の異常運動を呈する口腔習癖は顎機能障害発症の寄与因子の一つと考えられている. このような下顎の異常運動を引き起こす背景として, 薬剤の使用や神経疾患が挙げられるが, 歯科治療などの口腔内の環境変化が直接的な契機となり出現するケースも報告されている. 今回我々は, 口腔内の違和感から下顎の異常運動が生じ顎機能障害を呈した症例を経験したので報告する. 「II. 症例概要」症例. 患者は67歳女性. 2003年10月に他院にて65┘の全部鋳造冠装着後, 同部が高いと感じた. 以来こすり合わせるような顎運動を行い始め, 不随意性のグラインディング運動が出現するに至った...

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Veröffentlicht in:日本補綴歯科学会雑誌 2004, Vol.48 (5), p.893-893
Hauptverfasser: 郷土恵久, 藤澤政紀, 和賀浩幸, 森岡範之, 石橋寛二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」ブラキシズムなど下顎の異常運動を呈する口腔習癖は顎機能障害発症の寄与因子の一つと考えられている. このような下顎の異常運動を引き起こす背景として, 薬剤の使用や神経疾患が挙げられるが, 歯科治療などの口腔内の環境変化が直接的な契機となり出現するケースも報告されている. 今回我々は, 口腔内の違和感から下顎の異常運動が生じ顎機能障害を呈した症例を経験したので報告する. 「II. 症例概要」症例. 患者は67歳女性. 2003年10月に他院にて65┘の全部鋳造冠装着後, 同部が高いと感じた. 以来こすり合わせるような顎運動を行い始め, 不随意性のグラインディング運動が出現するに至った. その後, 咬合調整を受けたことを契機に下顎の異常運動の頻度が増したとの主訴で2004年4月当科受診となった. 「III. 治療経過ならびに考察」初診時には著明なグラインディング様の下顎の異常運動が認められ, 顎関節痛および筋痛を訴えていた. 問診ならびに不安神経症の治療のため受診中の精神神経科担当医への照会により, 抗精神病薬のミラドール(R)の投薬が判明し, 副作用である遅発性ジスキネジアも考えられた. しかしながら, 薬の減量に対して強い不安感を訴えたこと, ならびに咬合に対する執着が強かったことからスプリント療法を行うこととした. 受診時には簡易精神療法を踏まえた対応を行い, 不安感を与えぬよう配慮しながらスプリント調整を行った. その結果, 異常運動自体の出現頻度が減少した. これはスプリントを使用することで系統的脱感作療法が行われた結果と考える. 今後はスプリントの使用時間を漸減させつつ経過を観察していく予定である.
ISSN:0389-5386