7. かみ合わせ外来患者の咬合治療の一例について―下顎位が問題となった症例

「I. 目的」かみ合わせ外来における咬合治療は多軸診断の結果, 心身医学・精神医学的に問題がなく, 主訴が咬合に起因すると診断された場合に適応している. 今回は, 下顎位が問題となった症例の当外来における咬合治療方法について報告する. 「III. 方法」患者は38歳の女性. 主訴は咀嚼困難, 顎の疲労, 歯の接触による睡眠障害であった. 基本的な歯科的診査と医学面接による多軸診断を行った. 咬合に関する精密診査として, X線撮影(セファログラムなど), 下顎運動計測(CADIAX)などを用い咬合に関する問題の検討を行った. 「III. 結果及び考察」多軸診断の結果, 1軸:なし. 2軸:なし....

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Veröffentlicht in:日本補綴歯科学会雑誌 2004, Vol.48 (2), p.315-315
Hauptverfasser: 玉置勝司, 和気裕之, 三橋晃, 豊田實, 宮地英雄, 宮岡等
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 目的」かみ合わせ外来における咬合治療は多軸診断の結果, 心身医学・精神医学的に問題がなく, 主訴が咬合に起因すると診断された場合に適応している. 今回は, 下顎位が問題となった症例の当外来における咬合治療方法について報告する. 「III. 方法」患者は38歳の女性. 主訴は咀嚼困難, 顎の疲労, 歯の接触による睡眠障害であった. 基本的な歯科的診査と医学面接による多軸診断を行った. 咬合に関する精密診査として, X線撮影(セファログラムなど), 下顎運動計測(CADIAX)などを用い咬合に関する問題の検討を行った. 「III. 結果及び考察」多軸診断の結果, 1軸:なし. 2軸:なし. 3軸:咬合不正. 4軸:生理に関連する身体症状. 5軸:90/100であった. 咬合の精密検査の結果, 術前のセファログラムグラム分析から咬合高径の指標であるLFHは58°で過高, 咬合平面(to AOP)は22°で急傾斜であった. 下顎運動の計測では, 咬頭嵌合位(ICP)の位置は下顎基準位(RP)に対して顆頭位として右側で4.5mm, 左側で6.1mm前方位であった. これらのことから, 患者の主訴に対するPrimary treatmentとして咬頭嵌合位の改善が必要であると診断した. 既存の補綴装置を撤去し, セファログラム分析, 下顎運動計測による顆頭位から適切な下顎位でプロビジョナルクラウンの装着を行った. 経過観察後, Primary treatmentは奏効し, Final treatmentとして偏心運動時の側方および後方コントロールを付与した最終補綴装置の製作を行った. 本症例のように広範囲にわたる咬合治療を行う場合, 術前に医学面接などを含めた包括的な診察が不可欠である. そして実際の咬合治療においては, 今回示したような咬合に関する客観的な表現法が有効であると考えている.
ISSN:0389-5386