6. かみ合わせ外来患者の心身医学・精神医学的な背景について―心療歯科専門医による医学面接の結果から
「I. 目的」当院の「かみ合わせ外来」は2002年4月から心療歯科の専門医による医学面接を実施することで, 包括的歯科診療に心身医学的なアプローチを加えている. 今回, 当外来患者の心身医学・精神医学的な背景について検討したので報告する. 「II. 方法」2002年4月から2003年9月の間に医学面接を行った患者の心身医学・精神医学的な背景を, 米国精神医学会の診断基準であるDSM-IVの1軸診断(精神疾患)を中心に集計した. 「III. 結果及び考察」対象症例は, 男性3例, 女性26例の計29例で, 年齢は平均52.1歳(SD14.0, 20~72歳)であった. 医学面接の結果, 精神科ま...
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Veröffentlicht in: | 日本補綴歯科学会雑誌 2004, Vol.48 (2), p.314-314 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I. 目的」当院の「かみ合わせ外来」は2002年4月から心療歯科の専門医による医学面接を実施することで, 包括的歯科診療に心身医学的なアプローチを加えている. 今回, 当外来患者の心身医学・精神医学的な背景について検討したので報告する. 「II. 方法」2002年4月から2003年9月の間に医学面接を行った患者の心身医学・精神医学的な背景を, 米国精神医学会の診断基準であるDSM-IVの1軸診断(精神疾患)を中心に集計した. 「III. 結果及び考察」対象症例は, 男性3例, 女性26例の計29例で, 年齢は平均52.1歳(SD14.0, 20~72歳)であった. 医学面接の結果, 精神科または心療内科への通院既往ありの症例は4例(13.8%), また調査時に内科や整形外科等の医科から向精神薬を投与されている症例は6例(20.7%)であった(1例重複). DSM-の1軸診断では明らかな精神疾患が認められない症例が11例(37.9%)で診断基準に該当する症例が18例(62.1%)であった. この18例の内訳は, 身体表現性障害(心気症・転換性障害・身体醜形障害・鑑別不能型など)に含まれる症例が12/18例(66.7%)と最も多く, 次いで気分障害(大うつ病性障害・気分変調性障害など)に含まれる症例が6/18例(33.3%), その他虚偽性障害, 妄想性障害, 強迫性障害が3/18例(16.7%)存在した(3例重複). 今回, 咬合問題をもつ患者には精神面の問題を有する頻度が高いことが示唆され, 通常の歯科治療では改善されない症状や経過には心身医学・精神医学的な要因の関与が推測された. しかし, これまでの歯科教育では, これらの患者に対する診断や対応はなされていない. 今後, 歯学教育への心身医学の導入, また歯科患者における心身両面からの評価や対応が必要であると考えている. |
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ISSN: | 0389-5386 |