陽極酸化と水熱処理によりチタン表面に析出するハイドロキシアパタイトの初期溶解特性
目的: 放電陽極酸化と水熱処理により, 純チタン表面に結晶性の高いハイドロキシアパタイト (HAP) を析出させる方法 (SA処理) を開発し, 優れた骨伝導能を有することを報告してきた. 埋入後のSA処理インプラントが恒常的に維持・機能するためには, HAP結晶変化について検討しておく必要がある. 本研究では, 浸漬試験を行い, HAP結晶変化について走査型電子顕微鏡 (SEM), X線回折装置 (XRD), X線光電子分光分析装置 (XPS) にて解析した. 方法: SA処理を施した純チタンディスクを試料として用いた. 緩衝液を使用して調整した0.9%NaCl溶液 (pH6.0), 1M...
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Veröffentlicht in: | 日本補綴歯科学会雑誌 2004/04/10, Vol.48(2), pp.232-241 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的: 放電陽極酸化と水熱処理により, 純チタン表面に結晶性の高いハイドロキシアパタイト (HAP) を析出させる方法 (SA処理) を開発し, 優れた骨伝導能を有することを報告してきた. 埋入後のSA処理インプラントが恒常的に維持・機能するためには, HAP結晶変化について検討しておく必要がある. 本研究では, 浸漬試験を行い, HAP結晶変化について走査型電子顕微鏡 (SEM), X線回折装置 (XRD), X線光電子分光分析装置 (XPS) にて解析した. 方法: SA処理を施した純チタンディスクを試料として用いた. 緩衝液を使用して調整した0.9%NaCl溶液 (pH6.0), 1M Tris-HCl溶液 (pH7.4) それぞれに試料を1, 7, 14日間浸漬後, SEM, XRD, XPSにてHAP結晶変化を解析した. 結果: 0.9%NaCl溶液に浸漬後14日目のSEM像でのHAP結晶の一部に形態変化が認められた. しかし, XRD解析では同定物質 (Ti, TiO2, Calcium acetate monohydrate, α-tricalcium phosphate, HAP, CaTiO) の浸漬前後における変化は認められなかった. XPS解析では, 浸漬後1日目よりHAP結晶中のPとCaの結合エネルギーが変化し, 活性化状態になっていることがわかった. 結論: 0.9%NaCl溶液を用いて酸性化の環境を想定した場合では, HAP結晶内部エネルギーとHAP結晶の形状に変化が認められたが, 性状は影響を受けていなかった. 一方, Tris-HCl液中においては, HAP結晶内部エネルギーの変化は認められるものの, HAP結晶の形状や性状は影響を受けていなかった. したがって, SA処理により析出したHAP結晶は, 生体内環境下で安定した状態であることが考えられた. |
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ISSN: | 0389-5386 1883-177X |
DOI: | 10.2186/jjps.48.232 |