10. 痴呆高齢者における転倒と咬合の関係

「I. 目的」咬合は重心動揺に影響を及ぼすことが報告されており, 姿勢反射を通じて高齢者の転倒に関与する可能性があるものの, これまで転倒との関係について調べた疫学研究は見当たらない. そこで今回, 転倒リスクの高い痴呆高齢者を対象として, 転倒と咬合との関係を明らかにすることとした. 「II. 方法」対象者は痴呆疾患療養病棟ならびに治療病棟に入院している自立歩行可能な痴呆患者146名(男性42名・女性104名・平均年齢82.2才)とした. 調査項目は, 年齢, 痴呆タイプ, 認知機能, 中枢神経作用薬の服用, 大腿骨骨折の既往, 咬合状態ならびに一年間の転倒回数とした. 咬合状態は残存歯のみ...

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Veröffentlicht in:日本補綴歯科学会雑誌 2003, Vol.47 (5), p.904-904
Hauptverfasser: 吉田光由, 森川英彦, 島田瑞穂, 歌野原有里, 齋藤慎恵, 林亮, 里見圭一, 津賀一弘, 赤川安正
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 目的」咬合は重心動揺に影響を及ぼすことが報告されており, 姿勢反射を通じて高齢者の転倒に関与する可能性があるものの, これまで転倒との関係について調べた疫学研究は見当たらない. そこで今回, 転倒リスクの高い痴呆高齢者を対象として, 転倒と咬合との関係を明らかにすることとした. 「II. 方法」対象者は痴呆疾患療養病棟ならびに治療病棟に入院している自立歩行可能な痴呆患者146名(男性42名・女性104名・平均年齢82.2才)とした. 調査項目は, 年齢, 痴呆タイプ, 認知機能, 中枢神経作用薬の服用, 大腿骨骨折の既往, 咬合状態ならびに一年間の転倒回数とした. 咬合状態は残存歯のみで臼歯部の咬合が維持されている者(残存歯群)・義歯により臼歯部の咬合が維持されている者(義歯群)・咬合の崩壊している者(崩壊群)に分類した. さらに, 転倒回数により2回以上の転倒を経験した高リスク群(41名)と1回以下の低リスク群(105名)に分け, 各調査項目ならびに咬合との関係をχ2検定およびANOVAを用いて検討した. 「III. 結果と考察」高リスク群は41名, 低リスク群は105名であり, 両群の年齢・痴呆タイプ・認知機能・徘徊の有無・服薬と転倒リスクに有意な差は見られなかった. 高リスク群において骨折の既往がある者が有意に多く, これらが転倒のリスクの高いものであることをより裏付けていた(p
ISSN:0389-5386