咀嚼・嚥下機能の検査・診断

目的: 嚥下とは食物を口腔に摂取, 咀嚼し咽頭へ送り込み, 咽頭, 食道を経て胃に送る一連の機能である. 咀嚼とは嚥下咽頭相の前準備としての口腔機能であり, 捕食から食物の粉砕・混和, 食塊形成, さらに咽頭への送り込みを含む過程である. これら咀嚼・嚥下機能の検査診断は, 歯科補綴学的な医療を科学的に遂行するうえで不可欠である. 本稿では上記の咀嚼・嚥下機能の本質を踏まえ, これまでの研究成果を探索し, 高齢社会に求められる咀嚼・嚥下機能の検査法を展望した. 研究の選択: 咀嚼・嚥下の機能検査に関する教科書的文献ならびにMedline検索, ハンドサーチによる近年の文献を対象とし, 評価対象...

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Veröffentlicht in:日本補綴歯科学会雑誌 2002/08/10, Vol.46(4), pp.463-474
1. Verfasser: 佐々木, 啓一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的: 嚥下とは食物を口腔に摂取, 咀嚼し咽頭へ送り込み, 咽頭, 食道を経て胃に送る一連の機能である. 咀嚼とは嚥下咽頭相の前準備としての口腔機能であり, 捕食から食物の粉砕・混和, 食塊形成, さらに咽頭への送り込みを含む過程である. これら咀嚼・嚥下機能の検査診断は, 歯科補綴学的な医療を科学的に遂行するうえで不可欠である. 本稿では上記の咀嚼・嚥下機能の本質を踏まえ, これまでの研究成果を探索し, 高齢社会に求められる咀嚼・嚥下機能の検査法を展望した. 研究の選択: 咀嚼・嚥下の機能検査に関する教科書的文献ならびにMedline検索, ハンドサーチによる近年の文献を対象とし, 評価対象別に総説した. 結果: 従来の機能評価は, 患者の主観的な評価である「咀嚼能力」と, 食物の粉砕などの機械的能力を食物の変容, 動態あるいは下顎運動や咀嚼筋活動などの生理学的指標により, 客観的に評価する「咀嚼能率」の両面からなされてきた. 開発された各種方法は, それぞれ評価対象とする機能を敏感に検知しうる性質を有している. しかし, いずれも一連の機能の一部のみを評価するものである. 結論: 咀嚼・嚥下機能の検査診断システムを確立するうえでは, 各種検査が何を評価対象としているものかを理解し, これらを系統的に用いることが必要である.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.46.463