3. 唾液分泌が咀嚼及び嚥下行動に及ぼす影響
「I. 目的」咀嚼能力を評価するには, 粉砕から食塊形成及び嚥下までの一連の過程を観察する必要がある. 本研究では, 食塊形成に関与する因子である被験者の唾液分泌量及び食品の水分吸収量に注目して, それぞれが咀嚼回数に及ぼす影響を分析し, 粉砕能力のみでなく食塊形成能力も含めた咀嚼能力を評価する指標を探ることを目的とした. 「II. 方法」咀嚼及び嚥下機能に異常の認めない被験者27名に, 水分吸収量の異なる煎餅3種類(重量3g)をそれぞれ自由に咀嚼, 嚥下させた時の喉頭運動, 嚥下音, 及び片側の咬筋と顎二腹筋筋電図を同時記録し, 嚥下のタイミング及び咀嚼回数を求めた. 咀嚼開始から初回の嚥下...
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Veröffentlicht in: | 日本補綴歯科学会雑誌 2001, Vol.45 (6), p.806-806 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I. 目的」咀嚼能力を評価するには, 粉砕から食塊形成及び嚥下までの一連の過程を観察する必要がある. 本研究では, 食塊形成に関与する因子である被験者の唾液分泌量及び食品の水分吸収量に注目して, それぞれが咀嚼回数に及ぼす影響を分析し, 粉砕能力のみでなく食塊形成能力も含めた咀嚼能力を評価する指標を探ることを目的とした. 「II. 方法」咀嚼及び嚥下機能に異常の認めない被験者27名に, 水分吸収量の異なる煎餅3種類(重量3g)をそれぞれ自由に咀嚼, 嚥下させた時の喉頭運動, 嚥下音, 及び片側の咬筋と顎二腹筋筋電図を同時記録し, 嚥下のタイミング及び咀嚼回数を求めた. 咀嚼開始から初回の嚥下まで(A区間)の咀嚼回数及び初回の嚥下から最終嚥下まで(B区間)の咀嚼回数が, それぞれ唾液分泌量の違いとどのような関係にあるかを各煎餅ごとに分析した. なお, 唾液分泌量は, ワックスを噛むことによる刺激唾液の分泌量を計測した. 「III. 結果及び考察」A区間の咀嚼回数は, 水分吸収量の少ない煎餅では, 唾液分泌量による傾向はなく, 唾液分泌量に依存しなかった. 水分吸収量中程度の煎餅及び水分吸収量の多い煎餅では, A区間の咀嚼回数は, 唾液分泌量の多い被験者ほど少ない傾向にあり, 唾液分泌量に依存した. B区間の咀嚼回数は, いずれの煎餅においても, 唾液分泌量の多い被験者ほど少ない傾向にあり, 唾液分泌量に依存した. 食塊形成には唾液の存在が不可欠であるので, 唾液分泌量に依存する煎餅の咀嚼回数は, 粉砕能力のみでなく食塊形成能力も含めた咀嚼能力を評価できると考えられる. |
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ISSN: | 0389-5386 |