1. 骨格性の下顎前突症例におけるオーバーデンチャーによる補綴治療

「I. 緒言」骨格性の下顎前突症例で, 矯正治療のみでは咬合関係の改善が解決できないほど形態的な不調和が著しい場合, 外科的矯正治療が選択される. しかし事情により外科的矯正治療が困難で, 補綴治療に委ねられる症例がある. こうした場合においてオーバーデンチャーによる補綴治療を選択し, 口腔機能及び心理的な改善がみられた2症例を経験したので報告する. 「II. 症例の概要」第1症例 14歳, 女性. 下顎の突出感と咀嚼不良を主訴に来院. 閉口時の側貌は, 顔面中央部の著しい陥凹と下顎の反時計方向の回転を伴う突出を示した. 上下顎の咬合接触はなく, 永久歯の先欠と乳歯の晩期残存がみられた. 第2...

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Veröffentlicht in:日本補綴歯科学会雑誌 2001, Vol.45 (4), p.545-545
Hauptverfasser: 藤橋祐子, 土田富士夫, 細井紀雄, 吉田健, 中村芳樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」骨格性の下顎前突症例で, 矯正治療のみでは咬合関係の改善が解決できないほど形態的な不調和が著しい場合, 外科的矯正治療が選択される. しかし事情により外科的矯正治療が困難で, 補綴治療に委ねられる症例がある. こうした場合においてオーバーデンチャーによる補綴治療を選択し, 口腔機能及び心理的な改善がみられた2症例を経験したので報告する. 「II. 症例の概要」第1症例 14歳, 女性. 下顎の突出感と咀嚼不良を主訴に来院. 閉口時の側貌は, 顔面中央部の著しい陥凹と下顎の反時計方向の回転を伴う突出を示した. 上下顎の咬合接触はなく, 永久歯の先欠と乳歯の晩期残存がみられた. 第2症例 18歳, 女性. 開咬と咀嚼不良を主訴に来院. 側貌では下顎の突出を示し, 上顎右側の第1大臼歯と下顎の第2大臼歯のみが咬合接触していた. 「III. 診断および治療」最初に矯正科にてセファログラム及び模型分析を行った. 第1症例 上顎骨の劣成長と下顎骨の過成長による骨格性の下顎前突と診断された. 患者が若齢なためと著しい咀嚼障害の早期改善のため, 上顎の天然歯列上にオーバーデンチャーを装着し咬合を付与した. 3年後破折により再製作したが, 経過は良好である. 第2症例 開咬を伴う骨格的な下顎前突と診断された. 既往歴の筋ジストロフィが麻酔の禁忌で外科処置は困難と診断され, 上顎のオーバーデンチャーにて咬合を改善することにした. 天然歯同士の咬合接触を保ちながら義歯形態の修正や咬合調整を続け, 現在は金属床への移行を検討中である. 「IV. まとめ」外科的矯正治療の適用が困難な骨格性の下顎前突患者に対し, オーバーデンチャーによる補綴治療は機能的にも審美的にも有効であった.
ISSN:0389-5386