義歯Qualityが総義歯装着者の咀嚼筋断面積の減少に及ぼす因子

「I. 緒言」 総義歯患者の顎口腔機能の老化は, 加齢や歯の喪失, 全身的な要因のほか, 人為的関与による顎顔面形態の変化, 総義歯のQualityなどさまざまな因子が複雑に絡み合って影響を受けると考えられる. 加齢に伴う骨格筋における変化については, 筋電図による筋活動量の減少1,2)や筋力の減少3,4), 筋収縮時間の延長5), motor unitの減少6)や発火頻度の減少7)などの生理学的変化や, 筋容積の減少8), 筋線維直径の減少や構成比率の変化9,10)など組織化学的変化などが報告されている. 老齢無歯顎者の咀嚼筋については, 咀嚼筋断面積の縮小11~15), 咬合力の減少16~...

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Veröffentlicht in:日本補綴歯科学会雑誌 1999-04, Vol.43 (2), p.312-320
Hauptverfasser: 田邊忠輝, 虫本栄子, 田中久敏, 井上大一, 遠藤義樹, 長谷剛史, 山田芳夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」 総義歯患者の顎口腔機能の老化は, 加齢や歯の喪失, 全身的な要因のほか, 人為的関与による顎顔面形態の変化, 総義歯のQualityなどさまざまな因子が複雑に絡み合って影響を受けると考えられる. 加齢に伴う骨格筋における変化については, 筋電図による筋活動量の減少1,2)や筋力の減少3,4), 筋収縮時間の延長5), motor unitの減少6)や発火頻度の減少7)などの生理学的変化や, 筋容積の減少8), 筋線維直径の減少や構成比率の変化9,10)など組織化学的変化などが報告されている. 老齢無歯顎者の咀嚼筋については, 咀嚼筋断面積の縮小11~15), 咬合力の減少16~20), 咀嚼筋活動量の減少21~23)が報告されており, 咀嚼筋機能の低下は明らかである. 著者ら24~26)は高齢無歯顎者における咀嚼系の加齢変化を明らかにする目的で, 天然歯を有する若年有歯顎者, 高年有歯顎者ならびに総義歯装着者の咀嚼筋断面積を計測し, 咀嚼筋断面積の減少には, 加齢よりもむしろ歯の喪失が強く影響したこと, つまり歯の喪失は咀嚼筋の萎縮と筋力の低下を招くことを報告した. 一方で, Yemmら27)は顎に2~5本の歯が残存するオーバーデンチャー装着者の咀嚼筋断面積は有歯顎者と変わらなかったと報告し, Ringqvist28)は義歯の咬合や適合性の良否が筋線維構成比率に関係したと報告している. すなわち, 再構成された咬合の条件, いい換えれば義歯のQualityも変動因子として咀嚼筋の断面積や機能に大きく影響すると考えられるが, 明らかではない. 本研究では, 総義歯のQualityの違いが咀嚼筋の形態と機能の変化に及ぼす影響を解明することを目的として, 総義歯Qualityの高い群と低い群について, 咀嚼筋断面積と最大咬みしめ時の筋電図を分析し, 比較検討した.
ISSN:0389-5386