接着性レジンセメントの接着強度に関する研究: セラミックコアーに仮着材が及ぼす影響
「I. 緒言」 近年, オールセラミックスによる審美的歯冠修復法は接着技術の向上に伴い, 広く臨床応用されるようになってきている1~3). なかでもIPS Empress(IVOCLAR, 以下エンプレスと略す)はロストワックス法と加圧・軟化・成型法により製作され4), 材料自体が自然歯に近似した光透過性を持ち, しかも, 優れた適合性を有するため5), 臨床応用される頻度が高い6). しかし, 良好な光透過性を有する反面, 背景の支台歯の色調を反映してしまうことが報告され7), 特に無髄歯に対しては金属鋳造体により支台築造を行うと, 歯自体の変色8)や修復装置による色調回復の面で難点9)があ...
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Veröffentlicht in: | 日本補綴歯科学会雑誌 1999/04/10, Vol.43(2), pp.251-259 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I. 緒言」 近年, オールセラミックスによる審美的歯冠修復法は接着技術の向上に伴い, 広く臨床応用されるようになってきている1~3). なかでもIPS Empress(IVOCLAR, 以下エンプレスと略す)はロストワックス法と加圧・軟化・成型法により製作され4), 材料自体が自然歯に近似した光透過性を持ち, しかも, 優れた適合性を有するため5), 臨床応用される頻度が高い6). しかし, 良好な光透過性を有する反面, 背景の支台歯の色調を反映してしまうことが報告され7), 特に無髄歯に対しては金属鋳造体により支台築造を行うと, 歯自体の変色8)や修復装置による色調回復の面で難点9)がある. そのため, 支台築造体に金属を使用せず色調が象牙質に近似しているものを使用したほうが良好な色調回復が行えること10)より, コンポジットレジン, 陶材およびキャスタブルセラミックスを用いる方法11~13)などが報告されている. このため, オールセラミックス材による支台築造法として, 象牙質色に近似するIPS Empress Cosmo Post Ingot(IVOCLAR, 以下セラミックコアーと略す)が開発された. ポスト部分はオールセラミック材であるジルコニア焼結体ポスト(COSMOPOST IVOCLAR, 以下コスモポストと略す)が適用され14,15), その周囲はセラミックコアーで鋳造し一体化される. このコスモポストとセラミックコアーを接着性レジンセメントで支台歯に接着して支台築造を行い, その後この支台歯に, エンプレスで製作した歯冠修復装置を接着することにより, より審美的な色調回復ができるようになっている. 一般臨床では, 支台歯形成後から最終歯冠修復装置を装着するまでの期間は, 咀嚼・発音・嚥下などの諸機能を保持し, 支台歯自体, 隣在歯および対合歯などの挺出や傾斜を予防し, かつ審美性を保持することを目的として, 必ず暫間被覆冠を製作し, これを仮着材で仮着しなければならない16~20). そのためエンプレスクラウンは, 種々の仮着材を除去・清掃した支台歯形成面に, エンプレス専用の接着性レジンセメントであるVariolink(VIVADENT, 以下レジンセメントと略す)を使用して接着する. しかし, 仮着材ならびに仮着材の除去・清掃方法の相違がセラミックコアーとレジンセメントの接着強度に及ぼす影響については明らかにされていない. そこで, 本研究ではセラミックコアーにより支台築造を行った支台歯に対し, 2種類の仮着材で暫間被覆冠を仮着した支台歯面にエンプレスクラウンを接着することを想定し, 仮着材の種類ならびに仮着材の除去・清掃方法の相違がレジンセメントの接着強度に及ぼす影響について, 剪断接着強度, 表面粗さ, 接触角およびSEM観察で比較検討を行った. |
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ISSN: | 0389-5386 1883-177X |
DOI: | 10.2186/jjps.43.251 |