7. 無歯顎補綴の垂直的顎間関係決定時における顔面計測法について―第5報 Bruno法に及ぼす性差および顔型差の影響

[目的]: 本研究は, 無歯顎補綴垂直的顎間関係決定時に用いられる顔面計測法の精度を検討する目的で, 解剖学的特徴点間距離との差を有歯顎者を用いて計測したものである. 今回は性別と判型がBruno法の精度に及ぼす影響について検索を行った. [方法]: (1)被検者: 可及的有歯顎かつ個性正常咬合であり, 顔面外傷既往と頭蓋下顎機能障害の無い24.2±3.3(平均±SD)歳のSquare, Ovoid, そしてTaperの3基本顔型, 各グループ共に男性, 女性各々5名ずつ, 計90名とした. (2)計測方法: 以下の顔面解剖学的特徴点の2点間距離を計測した. (1)鼻下点-オトガイ底間距離(2...

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Veröffentlicht in:日本補綴歯科学会雑誌 1998, Vol.42 (6), p.1119-1119
Hauptverfasser: 山本克之, 吉村剛, 森谷良彦, 池田貴之, 川本司, 田中章寛, 相澤正之, 西川美月, 瀧澤朋章
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[目的]: 本研究は, 無歯顎補綴垂直的顎間関係決定時に用いられる顔面計測法の精度を検討する目的で, 解剖学的特徴点間距離との差を有歯顎者を用いて計測したものである. 今回は性別と判型がBruno法の精度に及ぼす影響について検索を行った. [方法]: (1)被検者: 可及的有歯顎かつ個性正常咬合であり, 顔面外傷既往と頭蓋下顎機能障害の無い24.2±3.3(平均±SD)歳のSquare, Ovoid, そしてTaperの3基本顔型, 各グループ共に男性, 女性各々5名ずつ, 計90名とした. (2)計測方法: 以下の顔面解剖学的特徴点の2点間距離を計測した. (1)鼻下点-オトガイ底間距離(2)眉間中央点-下点間距離(3)外眼角-口角間距離(4)4横指幅長. (3)分析方法:無歯顎者補綴臨床で求めようとする鼻下点-オトガイ底間距離((1))を, 今回は有歯顎者を用いたために, 既知の数値Control(C)とみなした. (C=0.0mm)そして, (2), (3)および(4)と基準距離(1)との距離差を算出し, さらに性差および顔型差が及ぼす影響を検索する. [結果および考察]: 理論的には(1)=(2)=(3)=(4)が成り立つはずであるが, 一連の計測からは, (1)と他の距離が合致しない傾向を認めた. また, 分析結果は各層型ごとに異なり, Willis法の精度が他よりやや高い傾向を認めることを第2回日本顔学会で, また, McGee法の精度が性差および顔型差の影響を受けることを平成9年度日大歯学会で報告した. 今回の計測の結果, Bruno法でも同様の傾向が認められた. このことは, 多くの症例, 即ち性別と顔型の組み合わせ如何では顔面計測法利用にエラーを生ずる危険性のあることが示唆された. また, 一部には(4)≒(1)のケースの際には(2)および(3)が(1)より遥かに外れる傾向がある. 検定の結果, Bruno法の誤差には性差よりも顔矩差が及ぼす影響が大であり, Taper型と他の顔型との差が有意であた. [結論]: 総義歯補綴垂直的顎間関係決定時に用いられる顔面計測法の精度について検索を行い, 以下の結論を得た. (1)Bruno法の誤差には性差よりむしろ顔型差が大きな影響を及ぼす. (2)現状では, 顔面計測法単独ではなく他の方法も併用すべきである.
ISSN:0389-5386