すれ違い咬合患者における臨床所見と関節円板の転位に関連する因子の検討
「I.緒言」すれ違い咬合とは「上下顎に残存歯があるにもかかわらず, 咬合位が失われている状態」を総称している. すれ違い咬合は, 部分的な欠損歯列から無歯顎に至る過程のなかで欠損補綴の難症例とされており1), 一般に咬合位の不安定, 咬合高径の短縮, 顎堤の異常吸収などが認められ, 義歯の支持, 安定を得ることが難しく, 習慣性の顎位を有することも多い. しかしながらその顎関節の所見等については, 必ずしも明らかでない. 新鮮死体の解剖所見や全部床義歯装着者においては, 下顎頭の形態や関節円板の位置異常がかなりの比率で認められるとの報告も多いが2~5), 部分的欠損を有する患者やすれ違い咬合患...
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Veröffentlicht in: | 日本補綴歯科学会雑誌 1998/10/10, Vol.42(5), pp.803-814 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「I.緒言」すれ違い咬合とは「上下顎に残存歯があるにもかかわらず, 咬合位が失われている状態」を総称している. すれ違い咬合は, 部分的な欠損歯列から無歯顎に至る過程のなかで欠損補綴の難症例とされており1), 一般に咬合位の不安定, 咬合高径の短縮, 顎堤の異常吸収などが認められ, 義歯の支持, 安定を得ることが難しく, 習慣性の顎位を有することも多い. しかしながらその顎関節の所見等については, 必ずしも明らかでない. 新鮮死体の解剖所見や全部床義歯装着者においては, 下顎頭の形態や関節円板の位置異常がかなりの比率で認められるとの報告も多いが2~5), 部分的欠損を有する患者やすれ違い咬合患者に関するこれらの研究は少ない6, 7). 近年, 顎関節MRIやCTなどの普及に伴い, 非侵襲的でありながら高い診断精度を持って, 円板の転位状況や顎関節内障の客観的診断が可能となった. 欠損歯列を有したり, 固定性や可撤性の補綴装置により咬合位を保持している中高齢者は, 加齢や欠損の増加, さまざまな補綴装置の装着により咬合関係や顎関節部に何らかの変化を生じていると考えられる. |
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ISSN: | 0389-5386 1883-177X |
DOI: | 10.2186/jjps.42.803 |