幼児の上顎乳前歯歯肉部に発生した結節性筋膜炎の1例
結節性筋膜炎は良性の腫瘍類似疾患に分類されるが,臨床所見のみでは,悪性腫瘍との鑑別が困難な疾患である。一般に四肢の皮下組織に好発し,口腔粘膜での発生は非常に稀である。今回われわれは,上顎乳前歯部に結節性筋膜炎を発症した4歳の女児の治療を経験した。来院時,上顎右側乳切歯は動揺しており,歯軸の偏位とそれに伴う咬合平面の歪みが認められた。医療面接より,この歯列不正は1か月で急速に進行したことがわかった。画像検索では上顎乳前歯相当部に比較的境界明瞭なエックス線透過像とそれに接する乳歯の歯根吸収,永久歯歯胚の捻転,歯槽骨の吸収が確認された。これらの所見から,顎骨腫瘍を疑い切除生検を施行した。免疫組織学的...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2020/11/25, Vol.58(3), pp.173-181 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 結節性筋膜炎は良性の腫瘍類似疾患に分類されるが,臨床所見のみでは,悪性腫瘍との鑑別が困難な疾患である。一般に四肢の皮下組織に好発し,口腔粘膜での発生は非常に稀である。今回われわれは,上顎乳前歯部に結節性筋膜炎を発症した4歳の女児の治療を経験した。来院時,上顎右側乳切歯は動揺しており,歯軸の偏位とそれに伴う咬合平面の歪みが認められた。医療面接より,この歯列不正は1か月で急速に進行したことがわかった。画像検索では上顎乳前歯相当部に比較的境界明瞭なエックス線透過像とそれに接する乳歯の歯根吸収,永久歯歯胚の捻転,歯槽骨の吸収が確認された。これらの所見から,顎骨腫瘍を疑い切除生検を施行した。免疫組織学的解析,病理組織学的検索を経て結節性筋膜炎と診断した。切除後7年経過した現在まで再発は認められない。歯槽骨吸収を伴う幼児の結節性筋膜炎については,国内外でも報告がないため本症例の診断と治療経過について文献的考察を加え報告する。 |
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ISSN: | 0583-1199 2186-5078 |
DOI: | 10.11411/jspd.58.3_173 |