小児歯科診療における内在する情動変化の評価方法に関する研究: 皮膚電気活動と短時間心拍変動解析の比較
心拍変動解析は操作が簡便で侵襲も少なく,また測定精度と時間分解能に優れ,定量化が可能である。そのため自律神経機能の評価法として多く用いられている。歯科診療中の連続した歯科諸刺激に対して自律神経機能を評価するために,直近60 秒間の短時間解析データを用いた方法が開発されている。本研究では歯科諸刺激による診療中の小児の情動変化を評価することを目的とし,心電図と皮膚電気活動(Elec trodermal activity;以下EDA)を同時に測定した。また,併せて外部行動評価も行った。その結果得られた心拍数(以下HR)とRR 間隔の変動係数(以下CVRR)および心拍変動の短時間解析データから高周...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2016/11/25, Vol.54(4), pp.450-461 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 心拍変動解析は操作が簡便で侵襲も少なく,また測定精度と時間分解能に優れ,定量化が可能である。そのため自律神経機能の評価法として多く用いられている。歯科診療中の連続した歯科諸刺激に対して自律神経機能を評価するために,直近60 秒間の短時間解析データを用いた方法が開発されている。本研究では歯科諸刺激による診療中の小児の情動変化を評価することを目的とし,心電図と皮膚電気活動(Elec trodermal activity;以下EDA)を同時に測定した。また,併せて外部行動評価も行った。その結果得られた心拍数(以下HR)とRR 間隔の変動係数(以下CVRR)および心拍変動の短時間解析データから高周波成分(High Frequency>0.15 Hz;以下HF)および低周波成分(Low Frequency 0.05~0.15 Hz;以下LF)を分解し,その比であるLF/HF と皮膚電気活動波形の反応様式について比較し,次の結果を得た。1 )外部行動評価には表れない小児の情動変化が皮膚電気活動と心拍変動に反映された。2 )診療開始前の処置説明時に情動変化があるグループはその後の治療において情動変化を認める場面が多かった。3 )心拍変動解析の結果,診療開始前に情動変化があったグループは処置説明時,浸潤麻酔時と抜歯時においてCVRR が安静時よりも有意に高かった。HF, LF, LF/HF においては,いずれの処置でも有意差は認められなかった。4 )心拍変動解析のCVRR とLF/HF は処置説明時,浸潤麻酔時においてEDA の変動様式と類似した傾向が見られた。以上の結果から,自律神経機能の評価をすることは歯科診療中に内在する情動変化を評価するために有効であることが示唆された。 |
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ISSN: | 0583-1199 2186-5078 |
DOI: | 10.11411/jspd.54.4_450 |