P-1 乳臼歯の根管治療後に後継永久歯が嚢胞化した症例
目的:乳臼歯に根管治療を行った後, 膿瘍形成や後継永久歯との交換障害を認めることがある. 今回我々は, 後継永久歯が嚢胞化した3症例について, 乳歯の根管治療が原因と考えられる知見を得たので, ここに報告する. 対象と方法:当院にて下顎乳臼歯の根管治療を行い, 後継永久歯に含歯性嚢胞を発症した小児3人について, 処置内容とエックス線写真を検討し, 原因について考察を加えた. いずれの症例も, 乳臼歯に麻酔抜髄を行い, 3%過酸化水素水で洗浄後, ビタペックスを貼薬した. 症状が消失した後ビタペックスによる根管充填を行い, エックス線撮影で確認後, 既製乳歯金属冠による歯冠修復処置を行った. 結...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2011, Vol.49 (1), p.104-104 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:乳臼歯に根管治療を行った後, 膿瘍形成や後継永久歯との交換障害を認めることがある. 今回我々は, 後継永久歯が嚢胞化した3症例について, 乳歯の根管治療が原因と考えられる知見を得たので, ここに報告する. 対象と方法:当院にて下顎乳臼歯の根管治療を行い, 後継永久歯に含歯性嚢胞を発症した小児3人について, 処置内容とエックス線写真を検討し, 原因について考察を加えた. いずれの症例も, 乳臼歯に麻酔抜髄を行い, 3%過酸化水素水で洗浄後, ビタペックスを貼薬した. 症状が消失した後ビタペックスによる根管充填を行い, エックス線撮影で確認後, 既製乳歯金属冠による歯冠修復処置を行った. 結果:乳臼歯の根管治療後, 1年から4年経過後に, 膿瘍形成, 交換障害などの異常所見を認めたためエックス線写真を撮影したところ, 後継永久歯の歯冠周囲に嚢胞様エックス線的透過像を認めた. 2例は, 当該乳臼歯を抜去した後, 後継永久歯の自然萌出を認めた. 1例は嚢胞腔が大きかったため, 乳歯を抜去後, 口腔外科専門医に紹介し, 開窓術及び埋伏永久歯への牽引用のボタンの接着を依頼した. この症例も後継永久歯は自然萌出し, 歯槽骨も再生した. これらの症例の乳歯は感染根管ではなく, 根管治療時に使用したビタペックスが永久歯歯胚中に漏出していたことが含歯姓嚢胞化した一因であると考えた. 考察:乳歯に根尖病巣が存在すると, 後継永久歯胚は萌出にあたってそれを回避し, 交換期障害の原因になると考えられる. 今回の症例では, 処置時の乳歯は生活歯髄であり, 根尖部は感染根管ではなかった. 根管充填剤のビタペックスにはホルマリンが含有されており, その薬物刺激により永久歯胚の嚢胞化が惹起された可能性が考えられる. 他の要因が関与している可能性もあるが, 特に乳歯の根吸収が開始している場合に, 根管充填にあたってビタペックスの根管外への漏出を防ぐように, 心掛けることが必要であると思われる. |
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ISSN: | 0583-1199 |