更新-8 下顎小臼歯における根尖分岐症例に対するアプローチ
緒言:下顎小臼歯にはしばしば副根管が含まれ, 歯内療法に困難を来す. 今回, 根分岐を伴う複数根管症例に遭遇した. 症例:初診時;9歳11か月 特筆すべき全身既往歴は無い. 診査所見:視診にて下顎左側第一大臼歯に深在性齲蝕を認めた. エックス線像上では全ての下顎小臼歯に根管分岐を認め, うち下顎両第二小臼歯については根分岐を伴っていた. 過去6歳3か月における来院時におけるエックス線像では, 同部位に歯根分岐等を含め異常所見は認められなかった. 診断:下顎左側第一大臼歯 齲蝕3度, 慢性潰瘍性歯髄炎 治療計画:口腔衛生指導, および下顎左側第一大臼歯については歯内療法を実施後, 全部鋳造冠によ...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2011, Vol.49 (1), p.72-73 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 緒言:下顎小臼歯にはしばしば副根管が含まれ, 歯内療法に困難を来す. 今回, 根分岐を伴う複数根管症例に遭遇した. 症例:初診時;9歳11か月 特筆すべき全身既往歴は無い. 診査所見:視診にて下顎左側第一大臼歯に深在性齲蝕を認めた. エックス線像上では全ての下顎小臼歯に根管分岐を認め, うち下顎両第二小臼歯については根分岐を伴っていた. 過去6歳3か月における来院時におけるエックス線像では, 同部位に歯根分岐等を含め異常所見は認められなかった. 診断:下顎左側第一大臼歯 齲蝕3度, 慢性潰瘍性歯髄炎 治療計画:口腔衛生指導, および下顎左側第一大臼歯については歯内療法を実施後, 全部鋳造冠による歯冠修復を行う. 治療経過:患者と保護者に対し, ひとたび下顎小臼歯が齲蝕に見舞われれば歯の喪失に直結しかねない状況を説明, 口腔衛生の啓発のため指導を徹底した. 深在性齲蝕を伴う下顎左側第一大臼歯の抜髄を実施, ガッタパーチャによる根管充填を行った後, 全部鋳造冠による歯冠修復を行った. 家族歴:患者の兄(12歳6か月)に対するエックス線診査では下顎小臼歯における歯根分岐の所見は認められなかった. 一方, 患者の弟(7歳10か月)の下顎小臼歯は歯根形成途上にあり, 根端に分岐の兆候が認められた. 患者の父(39歳)についても, 下顎右側第二小臼歯に根管分岐があり, ブリッジ支台歯として根管治療が施され, 拇指頭大の根尖病変が認められた. 考察:本症例患者には2~3年の年長と年少の兄弟がおり, さらに父親と共に診査することで家族歴の調査が可能であった. その結果, 父親ならびに弟にも下顎小臼歯歯根の形態異常が認められた一方, 兄には同様の異常が一切見られなかったことから, 本症例のような歯根分岐の発生にはある程度の遺伝学的背景が示唆され, その発現時期が7歳頃であることが推定された. |
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ISSN: | 0583-1199 |