P-11 一卵性双生児の姉妹に認められた地図状舌の1例

目的:地図状舌の発生頻度は幼児15%, 成人1%, 男性より女性に多いと報告されている. 原因としてビタミンB2の欠乏やアレルギー, ストレスなどがあげられているが詳細は不明である. 今回, 一卵性双生児の姉妹に認められた地図状舌における原因の一端を解明する目的で血液および唾液の検査を行ったので報告した. 症例1:5歳2か月, 女児(姉). 主訴:口腔内の健診. 既往歴:特記すべき事項なし. 家族歴:祖父母, 両親, 兄, 一卵性双生児の妹の家族で, 妹にも地図状舌が認められるが, 他の家族には特記すべき事項なし. 口腔内所見:白色の辺縁に囲まれた境界明瞭な紅斑性病変が舌背に多数認められたが自...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2011, Vol.49 (1), p.68-68
Hauptverfasser: 村田幸枝, 八幡祥子, 松本也子, 廣瀬弥奈, 福田敦史, 竹嶋麻衣子, 首藤かい, 小堀有紀, 五十嵐清治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:地図状舌の発生頻度は幼児15%, 成人1%, 男性より女性に多いと報告されている. 原因としてビタミンB2の欠乏やアレルギー, ストレスなどがあげられているが詳細は不明である. 今回, 一卵性双生児の姉妹に認められた地図状舌における原因の一端を解明する目的で血液および唾液の検査を行ったので報告した. 症例1:5歳2か月, 女児(姉). 主訴:口腔内の健診. 既往歴:特記すべき事項なし. 家族歴:祖父母, 両親, 兄, 一卵性双生児の妹の家族で, 妹にも地図状舌が認められるが, 他の家族には特記すべき事項なし. 口腔内所見:白色の辺縁に囲まれた境界明瞭な紅斑性病変が舌背に多数認められたが自覚症状はなかった. 16歳になった現在も紅斑性病変は認められるが自覚症状を訴えたことはない. 症例2:5歳2か月. 女児(妹). 主訴:口腔内の健診. 既往歴:特記すべき事項なし. 家族歴:祖父母, 両親, 兄, 一卵性双生児の姉の家族で, 姉にも地図状舌が認められるが, 他の家族には特記すべき事項なし. 口腔内所見:白色の辺縁に囲まれた境界明瞭な紅斑性病変が舌尖に多数認められたが自覚症状はなかった. 16歳になった現在も紅斑性病変は認められるが自覚症状を訴えたことはない. 結果および考察:血液検査の結果から, アレルゲン・アルブミン・銅に関して姉妹ともに異常値が認められた. これらから, アレルギー, 銅の濃度低下, アルブミンの濃度上昇が地図状舌の発症に関与していることが推察された. また, 唾液検査の結果から, 姉妹ともに刺激時の唾液分泌量が少ないことが明らかとなった. このことから, 唾液の防御機構が低下するため, 機械的刺激を受け易い環境となり, 地図状舌が発症した可能性が考えられた. 今後は, 異常値に関して経過を観察するとともに, カリエスリスクが高いことを考慮し, 口腔内を清潔に保ち, 痛みなどの症状が発現しないように口腔衛生指導を継続していくことが必要と考えられた.
ISSN:0583-1199