小児悪性腫瘍の患児に対する放射線防護装置に関する研究: 第一報:遮蔽材および被覆材の電子線遮蔽効果について
悪性腫瘍を持つ小児の寿命は,治療の進歩によって延びつつある。これに従い,治療の晩期障害についての対策が課題となっている。放射線治療によって歯科領域に認められる晩期障害としては,歯牙欠如や矮小歯,短根歯,顎発育不全などが挙げられる。これらの障害は,放射線照射量が多いほど,また低年齢で治療を受けた症例ほど,重度であった。これより,著者は小児の放射線治療において,放射線から発育中の顔面口腔領域の組織を保護するための装置,アテニュエーターが必要であると考えた。そこで,表在性腫瘍に対して行われる電子線治療に注目し,アテニュエーター作製にふさわしい材料の検討として,まずその素材の候補となる遮蔽材と被覆材の...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2010/06/25, Vol.48(3), pp.428-438 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 悪性腫瘍を持つ小児の寿命は,治療の進歩によって延びつつある。これに従い,治療の晩期障害についての対策が課題となっている。放射線治療によって歯科領域に認められる晩期障害としては,歯牙欠如や矮小歯,短根歯,顎発育不全などが挙げられる。これらの障害は,放射線照射量が多いほど,また低年齢で治療を受けた症例ほど,重度であった。これより,著者は小児の放射線治療において,放射線から発育中の顔面口腔領域の組織を保護するための装置,アテニュエーターが必要であると考えた。そこで,表在性腫瘍に対して行われる電子線治療に注目し,アテニュエーター作製にふさわしい材料の検討として,まずその素材の候補となる遮蔽材と被覆材の電子線減衰能力を測定した。なお,本研究において,有効な遮蔽能力とは,減衰率を99.50%以上とした。その結果,鉛板2.0 mm の両面を被覆材で覆った場合,すべての組み合わせにおいて減衰率99.54%以上を達成できた。また,鉛板2.0 mm の上下にアクリル板3.0 mm を重ねた場合に最高の減衰率99.62%となることがあきらかになった。次に,この組み合わせでアテニュエーターを作製,装着した場合の顔面口腔組織各部位における仮想電子線吸収線量を算出した結果,アテニュエーターの臨床的有用性が強く示唆された。よって,小児悪性腫瘍に対する電子線治療においては,アテニュエーター装着により,顔面口腔領域の晩期障害の予防が期待される。 |
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ISSN: | 0583-1199 2186-5078 |
DOI: | 10.11411/jspd.48.3_428 |