上顎中切歯に発生した良性セメント芽細胞腫

良性セメント芽細胞腫は,セメント質の増殖を特徴とする比較的稀な歯原性腫瘍である。本腫瘍は臼歯部に多く認められ,前歯部での発生は極めて稀である。今回,著者らは上顎中切歯根尖部に良性セメント芽細胞腫が発生した15歳3か月の女子の1症例を経験した。初診時上顎左側中切歯に淡灰色の変色が認められ,上顎右側中切歯と比較して約1mmの挺出が認められた。デンタルエックス線写真およびコンピューター断層撮影(CT)写真において,根尖部に類円形の境界明瞭で歯根に連続したエックス線不透過像を認めた。根管治療後,歯根端切除を行い根尖部石灰化病変を根尖部と一塊として摘出したところ,病理組織診断は良性セメント芽細胞腫であっ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2009/03/25, Vol.47(1), pp.119-124
Hauptverfasser: 津田, 高, 飯澤, 二葉子, 三富, 智恵, 田口, 洋
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:良性セメント芽細胞腫は,セメント質の増殖を特徴とする比較的稀な歯原性腫瘍である。本腫瘍は臼歯部に多く認められ,前歯部での発生は極めて稀である。今回,著者らは上顎中切歯根尖部に良性セメント芽細胞腫が発生した15歳3か月の女子の1症例を経験した。初診時上顎左側中切歯に淡灰色の変色が認められ,上顎右側中切歯と比較して約1mmの挺出が認められた。デンタルエックス線写真およびコンピューター断層撮影(CT)写真において,根尖部に類円形の境界明瞭で歯根に連続したエックス線不透過像を認めた。根管治療後,歯根端切除を行い根尖部石灰化病変を根尖部と一塊として摘出したところ,病理組織診断は良性セメント芽細胞腫であった。その後再発は認められていない。本症例は若年者であることから原因歯の保存の可否について慎重に治療方針を決定する必要があり,エックス線写真だけではなく,CT写真による検査も重要であると考えられた。
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd.47.1_119