O-5 歯根の湾曲が認められた埋伏下顎第1大臼歯の開窓・牽引症例

第1大臼歯萌出遅延の原因として, 過剰歯や歯牙種, 歯冠周囲組織の嚢胞, 顎骨内の腫瘍などが考えられる. 今回著者らは萌出遅延とともに歯根の湾曲を認めた埋伏第1大臼歯の咬合誘導処置を行ったので, その経過を報告する. 症例:患児:初診時年齢8歳3か月男児. 主訴:左下6の萌出遅延. 現病歴:近医にて左下6の萌出遅延を指摘され紹介にて当科受診. 全身的特記事項:6歳時マイコプラズマ肺炎に感染. 口腔内所見:左下6の萌出は認められず, 同部位に歯槽骨の膨隆, 歯肉の膨隆, 発赤, 腫脹も認められなかった. エックス線所見:左下6歯冠周囲に境界明瞭な透過像, 同部位上方歯槽頂付近に石灰化物が認められ...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2008, Vol.46 (1), p.109-110
Hauptverfasser: 有木美早, 水野龍治郎, 鈴木淳司, 香西克之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:第1大臼歯萌出遅延の原因として, 過剰歯や歯牙種, 歯冠周囲組織の嚢胞, 顎骨内の腫瘍などが考えられる. 今回著者らは萌出遅延とともに歯根の湾曲を認めた埋伏第1大臼歯の咬合誘導処置を行ったので, その経過を報告する. 症例:患児:初診時年齢8歳3か月男児. 主訴:左下6の萌出遅延. 現病歴:近医にて左下6の萌出遅延を指摘され紹介にて当科受診. 全身的特記事項:6歳時マイコプラズマ肺炎に感染. 口腔内所見:左下6の萌出は認められず, 同部位に歯槽骨の膨隆, 歯肉の膨隆, 発赤, 腫脹も認められなかった. エックス線所見:左下6歯冠周囲に境界明瞭な透過像, 同部位上方歯槽頂付近に石灰化物が認められた. また左下6の根形成度は近遠心根ともに1/2程度であるが, 根尖が下顎下縁皮質骨付近にあり, 外側への根の湾曲が認められた. 治療経過:患児は嘔吐反射があり, 恐怖心が強く, 根は1/2程度と未完成であったため, 笑気吸入鎮静下にて歯冠周囲軟組織およびその上方の石灰化物を除去し開窓処置を行った. その後経過観察を行うが, 開窓4か月後に歯冠上方に骨の被覆を認め, ほとんど萌出傾向を認めなかったため, 開窓7か月の経過観察の後, 再開窓処置を行い左下6咬合面にリンガルボタンを接着し, 牽引を開始した. 固定源には右下6, 左下DEを支台としたリンガルアーチを用いた. 牽引開始8か月後に近心・側咬頭, 牽引開始1年後には咬合面が萌出したが, 固定源となる左下DEが交換期間近となったため, 牽引を中止し, 経過観察することとした. なお上顎には左上6の挺出防止のためにリンガルアーチを装着している. 牽引終了3か月後歯冠の自然萌出傾向が認められ, 歯冠は1/3萌出, 歯根は3/4程度完成していた. 牽引終了5か月後の現在歯冠は2/3萌出し, 臨床上問題となるような所見は認められず, 経過は良好である. 今後も長期的な予後観察を行っていく予定である.
ISSN:0583-1199