B-2 多種の咬合誘導処置を必要とした1症例
緒言:小児歯科臨床では, 保護者の気づかないむし歯, 歯肉炎, 歯並び, かみ合わせ, 歯の萌出の異常, 軟組織の異常等を, 発見することが多い. 早期に発見し, 適切な時期に適切な治療を加えて, 健全な永久歯列を育成していくことが, 我々の大切な努めであると考える. 今回, 上顎前歯の捻転を主訴に来院した患児に, 上顎左右第1大臼歯の異所萌出, 上唇小帯強直・正中離開, 前歯部交叉咬合を認め, その後上顎左右側切歯の口蓋側萌出や, 左側犬歯の含歯性嚢胞が生じたため, 多種の咬合誘導処置を必要とした1症例を経験したので, 報告する. 症例:初診時8歳10か月 男児 主訴:上の前歯のねじれが気に...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2008, Vol.46 (1), p.75-75 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 緒言:小児歯科臨床では, 保護者の気づかないむし歯, 歯肉炎, 歯並び, かみ合わせ, 歯の萌出の異常, 軟組織の異常等を, 発見することが多い. 早期に発見し, 適切な時期に適切な治療を加えて, 健全な永久歯列を育成していくことが, 我々の大切な努めであると考える. 今回, 上顎前歯の捻転を主訴に来院した患児に, 上顎左右第1大臼歯の異所萌出, 上唇小帯強直・正中離開, 前歯部交叉咬合を認め, その後上顎左右側切歯の口蓋側萌出や, 左側犬歯の含歯性嚢胞が生じたため, 多種の咬合誘導処置を必要とした1症例を経験したので, 報告する. 症例:初診時8歳10か月 男児 主訴:上の前歯のねじれが気になる. 初診時の口腔内所見:上顎左右中切歯捻転, 上下中切歯交叉咬合, 上唇小帯肥厚・付着異常, 正中離開, 上顎両側第1大臼歯異所萌出(hold type)を認める. 処置と経過:左側第2乳臼歯は内部吸収が著しく, 保存不可能と診断, 抜歯し, 8歳11か月時にリンガルアーチを装着, 第1大臼歯の遠心移動を行う. 9歳9か月時, 上唇小帯形成術. 左右上顎側切歯が口蓋側転位, 交叉咬合を呈したため, 3Dリンガルアーチや3Dクワドヘリックスを用い, 犬歯間の拡大と左右側切歯の唇側移動をはかる. 10歳7か月で, 上顎4前歯にブラケット装着, 11歳4か月で保定. 11歳11か月右側乳犬歯が脱落したため, 左側乳犬歯を抜歯したが, パノラマエックス線写真の比較で, 左側犬歯部の含歯性嚢胞を疑い, 病院の口腔外科を紹介. 13歳1か月時に嚢胞開窓術施行. 以後, 3Dリンガルアーチでスペースを作っていくと, 左側犬歯は徐々に萌出し, 15歳7か月時, ほぼ右側と同位置まで達した. 保護者は満足し, 最終治療は望まなかった. 考察:誘導処置は, 長期にわたる為, 保護者の理解を得られないこともある. この症例は今後細かな調整が必要と思われたが, 問題ないところまで誘導できたと考える. |
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ISSN: | 0583-1199 |