A-3 各種溶液に浸漬した場合のグラスアイオノマーセメントの表面変化とフッ素徐放について
目的:グラスアイオノマーセメントは歯質接着性のほかに口腔内においてフッ素イオンを放出し, 再取り込みを行う優れた性質を有し, 充填, 合着や予防填塞で臨床において幅広く使用されている. しかし口腔内は多種多様の食品や飲料に常にさらされており, プラークやpHの影響を受ける過酷な環境である. 本研究ではグラスアイオノマーセメントの長期耐久性を検討するため, 人工唾液, お茶, 脱イオン蒸留水とオレンジジュースに6か月浸漬し, フッ素徐放量と表面性状変化を調べた. 材料と方法:従来型グラスアイオノマーセメントのフジIX(ジーシー, 以下FIX), ハイボンドグラスアイオノマーF(松風, 以下GF)...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2008, Vol.46 (1), p.72-73 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 目的:グラスアイオノマーセメントは歯質接着性のほかに口腔内においてフッ素イオンを放出し, 再取り込みを行う優れた性質を有し, 充填, 合着や予防填塞で臨床において幅広く使用されている. しかし口腔内は多種多様の食品や飲料に常にさらされており, プラークやpHの影響を受ける過酷な環境である. 本研究ではグラスアイオノマーセメントの長期耐久性を検討するため, 人工唾液, お茶, 脱イオン蒸留水とオレンジジュースに6か月浸漬し, フッ素徐放量と表面性状変化を調べた. 材料と方法:従来型グラスアイオノマーセメントのフジIX(ジーシー, 以下FIX), ハイボンドグラスアイオノマーF(松風, 以下GF)と光硬化型グラスアイオノマーセメントのフジIILC(ジーシー, 以下FII), フジフィルLC(ジーシー, 以下FF)の4種類のグラスアイオノマーセメントを使用した. また, セメントを浸漬する溶液として, 人工唾液(pH 7.0), お茶(pH 6.0, おーいお茶, 伊藤園), 脱イオン蒸留水(pH 7.0), 100%オレンジジュース(pH 3.7, Sunkist)を使用した. 各種溶液は1週間ごとに交換し6か月間フッ素徐放量を測定し, 表面性状をデジタルカメラ(Nikon D70)で撮影しその変化を観察した. 結果と考察:人工唾液と脱イオン蒸留水に浸漬した場合はすべての材料において表面性状の変化はみられなかった. しかし, お茶に浸漬した場合はすべての材料に茶色の着色がみられた. オレンジジュースに浸漬した試料では従来型のFIXとGFが経時的に著しい表面の溶解が観察された. 一方, レジンに強化された光硬化型のFII, FFには顕著な溶解はみられなかった. フッ素徐放量に関しては, 人工唾液, 脱イオン蒸留水, お茶に浸漬した場合は1週目の徐放量が最も多かった. 2週目以降は急激に減少し, その後において徐放量の変化はみられなかった. オレンジジュースに浸漬した場合は, どの試料においても不安定な溶出で一定の傾向を示さなかった. 2週目以降も溶出量は減少せず, 長期にわたり多量に溶出していた. その理由としてはオレンジジュースが酸性であることと, その中に含まれるcarboxylic acidによって試料表面のセメントが溶解し, 新鮮面から内部のフッ素が溶出するために, フッ素が長期にわたり多量に溶出するもの1)と考えられる. 今回の実験は24時間常に各種溶液にグラスアイオノマーセメントを浸漬したので非常に特殊な環境であり, 実際に使用される口腔内とは状況は違う. しかし, 口腔内での使用に際しても, グラスアイオノマーセメントの崩壊を防ぐため, TBI・口腔ケアをきちんと行い口腔内を清潔に保つのが好ましい. 文献:1)McKenzie, M. A., et al. The physical properties of conventional and resin-modified glass ionomer dental cements stored in saliva, proprietary acidic bever-ages, saline and water. Biomaterials 24:4063-4069, 2003. |
---|---|
ISSN: | 0583-1199 |