O-5 Rett症候群女児の歯科治療経験

緒言:Rett症候群は精神発達遅滞, てんかん, 歩行失調や特有の手もみ動作などを特徴とするX連鎖優性の疾患である. 男児では胎生致死であり, 有病率は出生女児の1~1.5万人に1人で, 生後6か月までの正常発達の後, 1年以内に症状が現れるとされている. 今回, 我々は本症候群女児の前歯部交叉咬合に対し咬合誘導を行い, 歯科保健管理を継続中の症例について報告した. 症例:初診時7歳10か月の女児 初診:2000年9月 主訴:歯肉からの出血 家族歴:特記事項なし 既往歴:3歳の時に小児科でRett症候群と診断された. 初診時の口腔内所見 6EDC(2)(1)┴(1)(2)BCDE6 6EDC(...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本歯科学雑誌 2007, Vol.45 (1), p.162-162
Hauptverfasser: 福留麗実, 秋山茂久, 村上旬平, 森崎市治郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:緒言:Rett症候群は精神発達遅滞, てんかん, 歩行失調や特有の手もみ動作などを特徴とするX連鎖優性の疾患である. 男児では胎生致死であり, 有病率は出生女児の1~1.5万人に1人で, 生後6か月までの正常発達の後, 1年以内に症状が現れるとされている. 今回, 我々は本症候群女児の前歯部交叉咬合に対し咬合誘導を行い, 歯科保健管理を継続中の症例について報告した. 症例:初診時7歳10か月の女児 初診:2000年9月 主訴:歯肉からの出血 家族歴:特記事項なし 既往歴:3歳の時に小児科でRett症候群と診断された. 初診時の口腔内所見 6EDC(2)(1)┴(1)(2)BCDE6 6EDC(2)(1)┬(1)(2) BDE6 └2:口蓋側転位, └B:晩期残存 ○印は交叉咬合を示す. 4歳頃からてんかん発作, 小発作で1日数回20秒ほどの持続時間で起こる. 排泄, 入浴は全介助で, うがいは全くできない. 経過:前歯交叉咬合をみとめたが, 臼歯部の咬合関係は正常であった. 齲蝕はなく, プラークコントロールは良好で甘味嗜好も強くなかった. 前歯の交叉咬合について保護者に説明し, 理解を得られたので咬合誘導を行った. 使用装置は舌側弧線装置と21┘部に複式無線を用いた. 患児に装置を外すなどの問題行動はなかったが, 痛みを訴えられないため保護者の注意深い観察が必要であった. 補助弾線の破折・変形, バンド脱離のため, 救急来院することがあった. 結果:前歯交叉咬合が改善された. 咬合誘導処置後3年5か月が経過し, 現在は永久歯列で, 第二大臼歯が萌出途中である. 下顎前歯の舌側傾斜と叢生, deep biteと薬物性歯肉肥大が認められ, 今後も継続的管理が必要である. 精神発達遅滞児においても適切な時期に診断と単純な装置を用いることで不正咬合を改善できること, これによって口腔の機能と歯科疾患の予防にも利することが示された.
ISSN:0583-1199