4 唇顎裂患者の顎裂部に萌出した過剰歯の1例
緒言:日常の臨床でしばし遭遇する過剰歯の存在は, 歯列不正や咬合異常を招く可能性が高いため, 診査・診断, 抜歯時期について適切な判断が必要である. 今回われわれは, 唇顎裂児の顎裂部に萌出した過剰歯の稀な1例を経験したので報告した. 症例:5歳11か月の男児. 初診:2002年3月4日. (1歳6か月) 来院の動機:某医科大学形成外科より, 口腔内の管理を依頼され来院した. 既往歴:生後3か月に左側唇顎裂の診断のもと, 某医科大学形成外科にて口唇裂の手術が施行された. 家族歴:父母および同胞中に, 歯数ならびに歯の形態の異常, または唇, 顎, 口蓋裂などの異常は認められなかった. 現病歴:...
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Veröffentlicht in: | 日本歯科学雑誌 2007, Vol.45 (1), p.136-137 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 緒言:日常の臨床でしばし遭遇する過剰歯の存在は, 歯列不正や咬合異常を招く可能性が高いため, 診査・診断, 抜歯時期について適切な判断が必要である. 今回われわれは, 唇顎裂児の顎裂部に萌出した過剰歯の稀な1例を経験したので報告した. 症例:5歳11か月の男児. 初診:2002年3月4日. (1歳6か月) 来院の動機:某医科大学形成外科より, 口腔内の管理を依頼され来院した. 既往歴:生後3か月に左側唇顎裂の診断のもと, 某医科大学形成外科にて口唇裂の手術が施行された. 家族歴:父母および同胞中に, 歯数ならびに歯の形態の異常, または唇, 顎, 口蓋裂などの異常は認められなかった. 現病歴:2002年3月から当科にて定期管理を開始した. 初診時より上顎左側乳側切歯の萌出遅延あるいは先天性歯牙欠如が疑われたが, 2003年5月(2歳8か月)には萌出した. 2004年10月(4歳1か月), 上顎左側乳中切歯と乳側切歯の間に生じている顎裂部に, 過剰歯の自然萌出を認め, その後経過を観察し現在に至る. 現症:全身および口腔外所見では, 口唇形成術の瘢痕以外, 特に異常は認められなかった. 口腔内所見では, 上顎左側乳前歯部に過剰歯が存在した. なおパノラマX線写真で永久歯歯胚の数に異常は認められない. 臨床診断:上顎左側前歯部過剰歯 考察:唇顎裂患者は, 歯の欠如に起因する歯数異常の発生頻度が明らかに高いといわれている1). したがって, 本症例のように唇顎裂を伴った部位に現れる過剰歯は極めて稀である2). 本症例における, 過剰歯の抜歯時期については形成外科, 口腔外科および矯正歯科と連携して判断しており, 後継永久歯の歯数に問題がないことなどから, 上顎乳前歯部の交換期に合わせて抜歯を行うのが適切であると推察される. 今後, この過剰歯が永久歯列にどのような影響を及ぼすのか, 慎重なフォローアップを行う予定である. 文献:1)大矢卓志 他:口唇裂口蓋裂を有する矯正患者の歯の異常―大阪歯科大学付属病院矯正科における5年間の統計的観察―第1法 顎裂部位と歯数異常の発現頻度, 日口蓋誌, 20:220-234, 1995. 2)坪井研吾 他:唇顎裂児に認められた真性乳歯過剰歯例, 日口外誌, 33(5):1101-1016, 1987. |
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ISSN: | 0583-1199 |