T-2 異物迷入により高度の歯槽骨吸収をきたした1例

「緒言」:小児歯科領域において口腔内に異物が迷入し, 気づかずにいた症例の報告は比較的稀である. 今回, 我々はストロー片と推察される異物が下顎左側乳中切歯歯頚部に迷入し, 歯根膜および歯槽骨に障害をきたした症例を経験したので報告した. 「症例」:「患児」:3歳6か月の女児. 「主訴」:齲蝕処置「現病歴」:10日程前, 一人遊びをしていた際に激しく泣き出したが, 理由は不明であった. また, 食事の際に疼痛を訴えたこともあったが, 歯科を受診することはなく, 同部位が発赤し腫脹しているのにも気づいていなかった. 「口腔内所見」:患歯の歯頚側に歯冠を囲むように黄白色の異物を認め, 歯冠周囲歯肉お...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2006, Vol.44 (1), p.101-102
Hauptverfasser: 朝倉夕紀子, 浜田作光, 小森令賀, 進士久明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」:小児歯科領域において口腔内に異物が迷入し, 気づかずにいた症例の報告は比較的稀である. 今回, 我々はストロー片と推察される異物が下顎左側乳中切歯歯頚部に迷入し, 歯根膜および歯槽骨に障害をきたした症例を経験したので報告した. 「症例」:「患児」:3歳6か月の女児. 「主訴」:齲蝕処置「現病歴」:10日程前, 一人遊びをしていた際に激しく泣き出したが, 理由は不明であった. また, 食事の際に疼痛を訴えたこともあったが, 歯科を受診することはなく, 同部位が発赤し腫脹しているのにも気づいていなかった. 「口腔内所見」:患歯の歯頚側に歯冠を囲むように黄白色の異物を認め, 歯冠周囲歯肉および歯根部相当歯肉に発赤・腫脹が認められた. 動揺度は2度で, 舌側転移し, わずかに挺出していた. 「処置」:ピンセットにて異物を摘出した. 異物は歯冠の歯頚部周囲を覆うように迷入していて, 強固に付着していた. 摘出物は軟質の円筒形物体であった. 患歯には動揺, 転移, 挺出が認められたが, わずかであったので自然回復を期待して固定処置は行わなかった. 「治療結果」:摘出翌日のポケット測定値は, 近心3mm, 遠心4mm, 唇側4mm, 舌側4mmであり, エックス線検査により, 歯根歯頚側2分の1程度の歯槽骨吸収が認められた. 2週間後の診査では動揺度は1度であり, ポケットの回復とともに転移・挺出が改善され, エックス線診査では骨の添窩がわずかに認められた. さらに, 6歳3か月の診査では, 正常な永久歯の交換をしていた. 「考察」:本症例は保護者が異物迷入部位の発赤・腫脹および動揺に気づいておらず, 偶然発見されたものである. 保護者に対しては硬組織疾患のみならず, 周囲軟組織についても注意を向けるように指導することが必要と考えられた. また, 保育機関および製造業者に情報提供する必要があると考えられた.
ISSN:0583-1199