上顎前歯部における埋伏過剰歯摘出後の歯列の発育に関する臨床統計的観察

1984年1月から2001年12月までの18年間に鶴見大学歯学部小児歯科外来において上顎前歯部の埋伏過剰歯を摘出した後,上顎中切歯の萌出状態を観察し得た174例について経年的調査を行った. 過剰歯摘出後の萌出異常の発現率は34.5%であり,その内訳は萌出遅延17例(9.8%),捻転15例(8.6%),正中離開14例(8.0%),舌側傾斜13例(7.5%),唇側傾斜1例(0.6%)であった.この発現率は,摘出前の55,0%より減少していた.また,乳歯列期や混合歯列期前期に摘出した症例ほど中切歯の萌出異常の発現率が低くなる傾向が示された.摘出前の過剰歯の状態と摘出後の中切歯萌出異常の発現との関連性...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2005/09/25, Vol.43(4), pp.504-511
Hauptverfasser: 守安, 克也, 篠原, 左知緒, 高野, 文夫, 青柳, 陽子, 朝田, 芳信
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:1984年1月から2001年12月までの18年間に鶴見大学歯学部小児歯科外来において上顎前歯部の埋伏過剰歯を摘出した後,上顎中切歯の萌出状態を観察し得た174例について経年的調査を行った. 過剰歯摘出後の萌出異常の発現率は34.5%であり,その内訳は萌出遅延17例(9.8%),捻転15例(8.6%),正中離開14例(8.0%),舌側傾斜13例(7.5%),唇側傾斜1例(0.6%)であった.この発現率は,摘出前の55,0%より減少していた.また,乳歯列期や混合歯列期前期に摘出した症例ほど中切歯の萌出異常の発現率が低くなる傾向が示された.摘出前の過剰歯の状態と摘出後の中切歯萌出異常の発現との関連性を統計学的に評価したところ,摘出前の根尖投影エックス線写真において過剰歯と中切歯の垂直的重複が強いほど中切歯の萌出異常の発現が高くなる傾向が示された. 以上の結果から,上顎前歯部の埋伏過剰歯は,正常な中切歯萌出を促すためには可及的早期に摘出することが望ましいと考えられた.
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd1963.43.4_504