12 吹田市の乳幼児歯科健診の経年的調査における齲蝕発生に関連する要因の検討

「対象および方法」：・平成14年度に吹田市で3歳6か月健診を受診した者(2802名)を対象に, この中で2歳6か月歯科健診と1歳6か月健診を受診した者を個別経年的に健診結果, 問診結果等を集計し調査した. ・各健診は, 吹田市内の吹田市保健センターと吹田市休日診療所の2か所にて実施され, 口腔内健診は, 吹田市歯科医師会の担当歯科医師が各歯牙の歯面別の齲蝕診査を視診にておこなった. 健診時には, カリオスタット検査も実施した. ・各健診の問診項目は, 事前に保護者に郵送し記載された物を健診当日に回収した. 問診項目の内容は, 牛乳摂取の有無, ジュース・スポーツ飲料摂取の有無, 乳酸菌飲料摂取の有無, 母乳摂取の有無, 生活パターン, 食生活やおやつの時間, アメ・ガムの摂取, 歯口清掃の有無について記載されていた. ・今回は, 各健診時の齲蝕の相互関係と母乳摂取や甘味飲料摂取やアメ・ガム摂取が, 各健診時の齲蝕に及ぼす影響についてのみ検証した. 「まとめ」：・1歳6か月健診時に上顎前歯唇側に齲蝕を有した者は, 2歳6か月歯科健診3歳6か月健診の全ての齲蝕検診結果において, 有意に齲蝕に多く罹患していた. ・1歳6か月健診時点で母乳を摂取している者は, 1歳6か月健診, 2歳6か月歯科健診, 3歳6か月健診の時点で有意に齲触が多かった. ・1歳6か月健診時点で甘味飲料(ジュース・スポーツ飲料)摂取者は, 2歳6か月歯科健診, 3歳6か月健診の時点で有意に齲蝕が多かった. 2歳6か月歯科健診で「アメ・ガム」の摂取者は, 2歳6か月歯科健診, 3歳6か月健診での時点で有意に齲蝕が多かった. このことは, 1歳6か月児での授乳は1歳6か月健診時点の齲蝕だけでなくその後の齲蝕と関連すること, 1歳6か月時点での, 甘味飲料摂取もその後の齲蝕と関連が深いこと, また2歳6か月時点で「アメ・ガム」を摂取していることも, 齲蝕と関連していることが示唆された.