E-13 齲歯が原因と考えられた難治性頸部リンパ節膿瘍の1例
「患児」:3歳4か月, 女児「初診」:平成16年3月23日「主訴」:左顎下部の著しい腫脹「現病歴」:平成15年11月中旬頃から左側顎下部の腫脹を繰り返したため, 某大学病院に20日間入院し治療を受けたが原因不明と診断され, 再発を認めたことから当科を紹介された. 「現症」:初診時には頸部リンパ節に小豆大の腫瘤を認め, 弾性硬で波動は触れなかった. 口腔内には軽度の齲歯以外には異常を認めなかった. 口内法エックス線検査の結果, 下顎左側第一乳臼歯に齲蝕が認められたが, 歯周組織へ波及する炎症像は認められなかった. CT画像から, 炎症は下顎骨内側面から頸部へ波及していることが推察され, 下顎左側...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2005, Vol.43 (1), p.138-138 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「患児」:3歳4か月, 女児「初診」:平成16年3月23日「主訴」:左顎下部の著しい腫脹「現病歴」:平成15年11月中旬頃から左側顎下部の腫脹を繰り返したため, 某大学病院に20日間入院し治療を受けたが原因不明と診断され, 再発を認めたことから当科を紹介された. 「現症」:初診時には頸部リンパ節に小豆大の腫瘤を認め, 弾性硬で波動は触れなかった. 口腔内には軽度の齲歯以外には異常を認めなかった. 口内法エックス線検査の結果, 下顎左側第一乳臼歯に齲蝕が認められたが, 歯周組織へ波及する炎症像は認められなかった. CT画像から, 炎症は下顎骨内側面から頸部へ波及していることが推察され, 下顎左側第一乳臼歯からの感染が疑われた. 感染根管処置による改善が得られなかったため抜歯したところ, 一時的に膿瘍は消失した. しかし, 2か月後の発熱後に膿瘍の再発を認め, 再び抗生剤の投与を行ったところ治癒した. 「考察」:口腔内症状を呈することなく頸部へと波及する歯性感染症はまれであり, 膿瘍の形成が急速であったことから, 悪性腫瘍の合併も疑われたが, CT検査と血液検査により否定された. CT検査は, 頸部へ波及が疑われる広範囲な歯性感染症には有用であることが示唆された. 2か月後に認められた膿瘍の再発は, 頸部リンパ節に潜在していた原因菌の日和見感染によるものと思われ, 頸部に波及した歯性感染症の治療の難しさを痛感するものであった. 患児は膿瘍を初発する1週前に原因歯の充填処置を受けており, これが発症の一因であると考えられたため, 適切な充填処置の重要性を再認識させられた. |
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ISSN: | 0583-1199 |