P-7 当科における歯の外傷の実態調査

「目的」:小児における歯の外傷では, 生理的歯根吸収を有する乳歯や歯根未完成の幼若永久歯といった, 成熟した永久歯とは異なった問題があり, その対応は容易ではない. 今回演者らは歯の外傷を主訴に来院した患者に対して外傷歯の実態調査を行ったので報告する. 「対象」:平成14年から15年にかけて歯の外傷により, 福岡歯科大学附属病院の小児歯科外来に来院した男子67名, 女子33名, 計100名で, 対象歯は乳歯130歯, 永久歯83歯, 合わせて213歯について調査を行った. 「結果」:1)受傷時年齢:乳歯では4, 5歳児, 永久歯では7, 8歳児に多く, 乳歯, 永久歯とも男児が女児の約2倍であ...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2004, Vol.42 (1), p.168-168
Hauptverfasser: 柏村晴子, 久保山博子, 葉山康臣, 馬場篤子, 木山純子, 河野美佐, 本川渉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」:小児における歯の外傷では, 生理的歯根吸収を有する乳歯や歯根未完成の幼若永久歯といった, 成熟した永久歯とは異なった問題があり, その対応は容易ではない. 今回演者らは歯の外傷を主訴に来院した患者に対して外傷歯の実態調査を行ったので報告する. 「対象」:平成14年から15年にかけて歯の外傷により, 福岡歯科大学附属病院の小児歯科外来に来院した男子67名, 女子33名, 計100名で, 対象歯は乳歯130歯, 永久歯83歯, 合わせて213歯について調査を行った. 「結果」:1)受傷時年齢:乳歯では4, 5歳児, 永久歯では7, 8歳児に多く, 乳歯, 永久歯とも男児が女児の約2倍であった. 2)受傷部位:乳歯, 永久歯ともに上顎切歯部が多く, 特に上顎乳中切歯, 永久中切歯が圧倒的に多かった. 3)受傷様式:乳歯では, 動揺, 脱臼がそのほとんどを占めていた. 永久歯でも動揺が圧倒的に多く, ついで歯冠破折が多かった. 4)来院までの時間:受傷当日の来院が最も多かったが, その一方で受傷後1日以上経過して来院する患児も少なくなかった. 5)受傷原因:乳歯では転倒が多く, 衝突, 転落がそれに続く. 永久歯でも転倒が多く, ついで衝突であるが, 乳歯より衝突の割合が高く, 打撲も増えていた. 「考察」:従来, 乳歯外傷は1, 2歳児に多いと報告されているが, 本調査結果では4, 5歳児に多く認められ, 乳歯外傷の受傷年齢が高くなっていた. またその原因として4, 5, 6歳児の衝突が目立っていた. 永久歯では乳歯と比較すると歯冠破折が3倍多く, またそれに伴って歯内療法も多くなっていた. 今後, 我々は, このような現状に適切な対応が出来るように準備し, また, 園児に対しても外傷に関する啓蒙の必要性を感じた.
ISSN:0583-1199