13 上顎乳中切歯と永久中切歯に萌出遅延のみられた1例
上顎永久中切歯の萌出遅延はしばしばあるが, 乳切歯の報告は少ない. 今回, 上顎乳中切歯埋伏による永久中切歯萌出遅延例を報告した. 「患者」:H7年3月31日両側上顎乳中切歯未萌出を主訴に来院の4歳6か月男児. 「家族歴」:父親の右上側切歯, 第一小臼歯間の粘膜下口蓋裂, 右上犬歯欠損. 右上中切歯の歯冠形態異常. 妹(H9年生)の両側上顎乳中切歯埋伏. 両側上顎中切歯萌出遅延. 「既往歴」:1歳前頃に上顎前歯部打撲. 「現症」:(1)全身状態良好. (2)口腔内所見 両側上顎乳中切歯埋伏, 左側は歯肉下に豊隆あり. 両側乳側切歯, 犬歯反対咬合. 下顎前歯空隙歯列. 両側下顎乳中切歯幅径は石...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2004, Vol.42 (1), p.160-160 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 上顎永久中切歯の萌出遅延はしばしばあるが, 乳切歯の報告は少ない. 今回, 上顎乳中切歯埋伏による永久中切歯萌出遅延例を報告した. 「患者」:H7年3月31日両側上顎乳中切歯未萌出を主訴に来院の4歳6か月男児. 「家族歴」:父親の右上側切歯, 第一小臼歯間の粘膜下口蓋裂, 右上犬歯欠損. 右上中切歯の歯冠形態異常. 妹(H9年生)の両側上顎乳中切歯埋伏. 両側上顎中切歯萌出遅延. 「既往歴」:1歳前頃に上顎前歯部打撲. 「現症」:(1)全身状態良好. (2)口腔内所見 両側上顎乳中切歯埋伏, 左側は歯肉下に豊隆あり. 両側乳側切歯, 犬歯反対咬合. 下顎前歯空隙歯列. 両側下顎乳中切歯幅径は石田らの値より2SD近く小さい. (3)エックス線所見 既萌出乳歯の根も短い. 右上乳中切歯は根形成なく右上中切歯冠より低位唇側にある. 左上乳中切歯も根形成はないが歯槽頂歯肉粘膜下にある. 「処置および経過」:H7年4月左上乳中切歯歯肉開窓にて萌出. 10月から12月舌側狐線で前歯被蓋改善. 12月右上埋伏乳切歯部小児義歯装着. 9年5月左上中切歯萌出開始. 反対咬合. 6月から9月舌側狐線で左中切歯被蓋改善. 舌側狐線で保定・保隙. 9年8月右上埋伏乳中切歯抜歯. 10年3月右上中切歯部Flap法開窓, 唇面にボタン装着, 5月まで第二乳臼歯支台の床付舌側狐線にて牽引したが動かず. 6月から7月まで第一大臼歯支台の床付舌側狐線で牽引. 萌出両上顎中切歯唇面に凹弯形態異常あり. 11年9月から11月4前歯反対咬合を舌側狐線で被蓋改善. 保定. 12年5月舌側狐線除去. エックス線で右上中切歯歯頸部内部吸収と根の弯曲あり. 現在も経過観察中. 「考察」:家族歴から本報の萌出遅延は遺伝的要因が考えられる. 右上乳中切歯は埋伏位置や年齢を検討し6歳11か月で抜歯した. 抜歯創を閉じ半年経過観察後, 開窓し中切歯を牽引したが, 萌出障害により, 中切歯弯曲を生じた. 歯冠の変形は形成期に, 乳中切歯が永久中切歯近傍に埋伏していたためと思われる. |
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ISSN: | 0583-1199 |