小児の下顎滑走運動面の面積について
滑走運動は,下顎の基本的な運動のひとつであり,数多くの研究が行われてきた。しかし,前方滑走運動および側方滑走運動の範囲についての報告はあるものの,これら下顎滑走運動の可動域の面積を定量したものは限られている。本研究では,乳歯列期小児10名の下顎の任意の滑走運動より作成した下顎滑走運動面,すなわちポッセルト・フィギュアの上面の面積および範囲の定量化を行った。また成人女性16名との比較検討も行い,小児の下顎機能の特徴を明らかにすることを目的とし,解析を行った。その結果,以下の結論を得た。 1.乳歯列期小児の下顎滑走運動面の面積は成人と比較して,切歯点,犬歯,臼歯において有意に小さく,顆頭点において...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2004/03/25, Vol.42(1), pp.19-26 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 滑走運動は,下顎の基本的な運動のひとつであり,数多くの研究が行われてきた。しかし,前方滑走運動および側方滑走運動の範囲についての報告はあるものの,これら下顎滑走運動の可動域の面積を定量したものは限られている。本研究では,乳歯列期小児10名の下顎の任意の滑走運動より作成した下顎滑走運動面,すなわちポッセルト・フィギュアの上面の面積および範囲の定量化を行った。また成人女性16名との比較検討も行い,小児の下顎機能の特徴を明らかにすることを目的とし,解析を行った。その結果,以下の結論を得た。 1.乳歯列期小児の下顎滑走運動面の面積は成人と比較して,切歯点,犬歯,臼歯において有意に小さく,顆頭点においては有意な差は認められなかった。 2.乳歯列期小児の下顎滑走運動面の範囲は成人と比較して,切歯点,犬歯,臼歯において側方成分および垂直成分が有意に小さく,顆頭点においては垂直成分が有意に小さかった。 3.下顎滑走運動面は,切歯点において咬頭嵌合位を含む矢状面に対して左右対称であり,他の計測点では反対側同部位と比較してすべての解析項目において有意な差は認められなかった。 4.最大面積であった切歯点の下顎滑走運動面面積を基準として犬歯,臼歯との比率では,乳歯列期小児と成人はほぼ一定であり,顆頭点における比率は乳歯列期小児が成人より大きかった。 本研究により,乳歯列期小児と成人では下顎滑走運動面面積において差が認められた。 |
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ISSN: | 0583-1199 2186-5078 |
DOI: | 10.11411/jspd1963.42.1_19 |