2 小児期の歯の外傷時における修復処置‐上顎永久前歯脱落時の接着性ブリッジの応用
小児期の歯の外側において, 歯が脱落することは外傷全体から観察すれば少なくとも約10%であり, とくに上顎中切歯が脱落することが多い. 原因としては, 転倒, スポーツ, 交通事故や殴打などで大きな外力が加わったときに発生する. 臨床的には, 永久前歯では脱落した歯を歯槽窩に挿入して再植後, 歯を固定することが通常行われている処置である. しかし, 外傷で脱落した歯が紛失したり, 粉砕している場合や, 再植後に歯根吸収により脱落してまう場合もある. そこで, 今回, 著者らは外傷で歯が脱落した場合に接着性ブリッジを応用して修復した症例について報告した. 「症例1」患児は, 初診時10歳の女児....
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2003, Vol.41 (3), p.633-634 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 小児期の歯の外側において, 歯が脱落することは外傷全体から観察すれば少なくとも約10%であり, とくに上顎中切歯が脱落することが多い. 原因としては, 転倒, スポーツ, 交通事故や殴打などで大きな外力が加わったときに発生する. 臨床的には, 永久前歯では脱落した歯を歯槽窩に挿入して再植後, 歯を固定することが通常行われている処置である. しかし, 外傷で脱落した歯が紛失したり, 粉砕している場合や, 再植後に歯根吸収により脱落してまう場合もある. そこで, 今回, 著者らは外傷で歯が脱落した場合に接着性ブリッジを応用して修復した症例について報告した. 「症例1」患児は, 初診時10歳の女児. 主訴は, 外傷後の口腔管理. 既往歴として7歳時に自転車で転倒し, 上顎左右側永久中切歯を脱臼して, 再植と固定を行った. 8歳時に歯根吸収と動揺のため保存処置を行った. さらに9歳時に顔面をボールで強打し, 歯根破折のため抜歯となり, 可徹式保隙装置を装着した. 可徹式保隙装置には問題点はないが, 装置への嫌悪感のため患児の強い希望により接着性ブリッジを装着することになった. 「症側2」患児は, 初診時10歳の女児. 主訴は, 交通外傷後の補綴処置. 既往歴として10歳時に歩行中に交通事故に遭う. 左側上顎骨および頬骨骨折, 上顎左右側永久中切歯完全脱臼および歯槽骨骨折を認めた. その後, 補綴処置にて小児歯科に来院した. 患児の審美性を考慮して接着性ブリッジを装着することした. 小児期に歯の外傷により歯が喪失した場合には, 患児の審美的な効果や精神的な配慮から可徹式保隙装置よりも接着性ブリッジを選択すべきである. さらに, そのような接着性ブリッジは暫間的に使用するもので, 将来は永久的な補綴物に交換すべきであると考えている. |
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ISSN: | 0583-1199 |