P-4 全身疾患が疑われた壊死性潰瘍性歯肉炎の一例

壊死性潰瘍性歯肉炎は, 歯周疾患の分類のなかでも特殊歯周疾患として取り扱われている. その症状として, 全身的には, 顎下リンパ節の腫脹, 発熱, 悪寒, 倦怠感などあげられ, 局所的には, 辺縁歯肉特に歯間乳頭部の潰瘍や壊死, 上皮の剥離, クレーター状の歯肉辺縁, 著しい出血, 激痛, 特有の口臭などみられる. 今回, 我々は発症年齢が9歳と低く, 全身疾患の関与が疑われた壊死性潰瘍性歯肉炎に遭遇したので, 報告する. 「現病歴」:数日前より上顎右側中切歯, 同側切歯間の頬側歯肉に白い偽膜を伴う潰瘍がみられたため, 某歯科医院からの紹介にて来院した. 某歯科医院で口腔内管理を行っており,...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2003, Vol.41 (3), p.630-630
Hauptverfasser: 本田真紀, 入江庸介, 峯田淑江, 高田真希, 近藤亜子, 飯沼光生, 田村康夫, 蒲生健司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:壊死性潰瘍性歯肉炎は, 歯周疾患の分類のなかでも特殊歯周疾患として取り扱われている. その症状として, 全身的には, 顎下リンパ節の腫脹, 発熱, 悪寒, 倦怠感などあげられ, 局所的には, 辺縁歯肉特に歯間乳頭部の潰瘍や壊死, 上皮の剥離, クレーター状の歯肉辺縁, 著しい出血, 激痛, 特有の口臭などみられる. 今回, 我々は発症年齢が9歳と低く, 全身疾患の関与が疑われた壊死性潰瘍性歯肉炎に遭遇したので, 報告する. 「現病歴」:数日前より上顎右側中切歯, 同側切歯間の頬側歯肉に白い偽膜を伴う潰瘍がみられたため, 某歯科医院からの紹介にて来院した. 某歯科医院で口腔内管理を行っており, 口腔衛生状態はよくないものの, それまでは歯肉に特に異常は認められなかった. 「既往歴」:前年に原因不明の2~3日続く微熱を数回繰り返したが他に体調不良などはみられなかった. また, アフタ性口内炎もしばしばみられた. 外傷等の既往歴はみられなかった. 「現症ならびに処置経過」:全顎にわたり歯肉の発赤がみられ, 易出血性であるが, 自発痛は認めなかった. 上顎前歯唇側辺縁歯肉に潰瘍性の炎症が認められ, 特に右側中切歯, 側切歯は歯肉退縮がみられた. 免疫機能検査を行ったところ, 抗核抗体が80で正常値の2倍を示した以外異常は認められなかった. さらに某大学小児科に精査を依頼したが, 全身的異常は認められなかった. 口腔清掃不良のため, 軟毛歯ブラシによる清掃を指導し含嗽剤ハチアズレの投与を行い, 約2週間で歯肉の退縮は改善したものの, 辺縁歯肉の潰瘍は存続し, また多発性アフタ性口内炎の再発を繰り返した. 引き続きブラッシング指導し, さらに除石ならびにProfessional Mechanical Tooth Cleaningを行った. その後, 症状は約2年間変化がみられなかったが, 数か月前より潰瘍消退し, 口内炎の再発もなく, 歯肉の発赤が残る程度に推移している.
ISSN:0583-1199