乳歯列期小児の習慣性開口運動における下顎切歯点と顆頭点との関係

開口量は顎機能評価の一般的な指標として頻繁に用いられているが,この診査には下顎切歯点における開口量と顆頭運動量に相関があるという前提が必要である.しかし,その相関に関する報告は非常に限られており乳歯列期の小児における詳細な報告は見当たらない.そこで本研究は,この点を明らかにするため,乳歯列期小児24名と成人女性26名を被験者とし,習慣性開閉口運動を三次元6自由度下顎運動計測装置(TRIMET)にて3回ずつ計測して,下顎切歯点(以下,切歯点),左右解剖学的顆頭中央点(以下,顆頭点)の1)上下運動範囲,2)前後運動範囲,3)三次元直線距離,4)三次元運動軌跡の関係を比較検討した.また,これらの変動...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2003/06/25, Vol.41(3), pp.573-579
Hauptverfasser: 黄, 饒青, 早崎, 治明, 中田, 志保, 中田, 稔
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:開口量は顎機能評価の一般的な指標として頻繁に用いられているが,この診査には下顎切歯点における開口量と顆頭運動量に相関があるという前提が必要である.しかし,その相関に関する報告は非常に限られており乳歯列期の小児における詳細な報告は見当たらない.そこで本研究は,この点を明らかにするため,乳歯列期小児24名と成人女性26名を被験者とし,習慣性開閉口運動を三次元6自由度下顎運動計測装置(TRIMET)にて3回ずつ計測して,下顎切歯点(以下,切歯点),左右解剖学的顆頭中央点(以下,顆頭点)の1)上下運動範囲,2)前後運動範囲,3)三次元直線距離,4)三次元運動軌跡の関係を比較検討した.また,これらの変動係数も求めた.さらに切歯点と顆頭点の関係を明らかにするため,これら2つの解析点間の相関係数を4つの解析項目間で求めたところ,以下の結論を得た. 1.小児は成人に比較して切歯点および顆頭点のすべての計測項目が有意に小さかった. 2.切歯点,顆頭点の計測項目の変動係数は顆頭の上下範囲を除いて,小児の方が小さい傾向が認められた. 3.小児および成人の両群において,切歯点と顆頭点間の移動距離には有意な相関が認められた. 4.切歯点と顆頭点の計測項目間の個人間相関係数は小児より成人の方が小さい傾向が認められたが,個人内相関係数はすべて小児が成人より小さかった. これらの結果より,習慣性開閉口運動は成人より変動係数が小さいことから,小児にも適用できる被験運動であると考えられた.また切歯点の運動から顆頭の運動を推測することが可能であると考えられたが,成人よりも相関が若干劣ることなどから,小児では繰り返し計測を行う必要性が考えられた.
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd1963.41.3_573