亜鉛がラット成長期下顎頭へ及ぼす微細構造的研究

亜鉛は軟骨や骨組織の成長にとって重要な必須微量元素である.そこで成長期下顎頭における亜鉛の影響を明らかにするため,生後5週齢のWistar系雄ラットを用いて対照群(標準食:34 .4ppm),亜鉛欠乏食群(0%:3.7ppm),低亜鉛食群(50%:14.7ppm),高亜鉛食群(150%:51.4ppm)の4群に分けた.各群の軟骨内骨化に関与する海綿骨部を中心とした細胞の動態を微細構造的に検索した. 1.骨芽細胞は低亜鉛食群に比べ高亜鉛食群において出現が多かった.亜鉛欠乏食群では,活性型骨芽細胞が減少し,低亜鉛食群,高亜鉛食群及び対照群の順で活性型骨芽細胞は増加した.亜鉛が欠乏することで骨芽細胞...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2001/09/25, Vol.39(4), pp.830-838
Hauptverfasser: 有住, 隆史, 牧, 憲司, 西岡, 孝浩, 佐伯, 桂, 森高, 久恵
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:亜鉛は軟骨や骨組織の成長にとって重要な必須微量元素である.そこで成長期下顎頭における亜鉛の影響を明らかにするため,生後5週齢のWistar系雄ラットを用いて対照群(標準食:34 .4ppm),亜鉛欠乏食群(0%:3.7ppm),低亜鉛食群(50%:14.7ppm),高亜鉛食群(150%:51.4ppm)の4群に分けた.各群の軟骨内骨化に関与する海綿骨部を中心とした細胞の動態を微細構造的に検索した. 1.骨芽細胞は低亜鉛食群に比べ高亜鉛食群において出現が多かった.亜鉛欠乏食群では,活性型骨芽細胞が減少し,低亜鉛食群,高亜鉛食群及び対照群の順で活性型骨芽細胞は増加した.亜鉛が欠乏することで骨芽細胞ならびに破骨細胞の減少が認められた. 2.骨細胞は対照群と比べ亜鉛欠乏食群にはコラーゲン原線維も多く見られ不活性な骨芽細胞が著明であることから骨形成が不充分な状態にあった.低亜鉛食群では亜鉛欠乏食群に比べると,骨形成と骨芽細胞から骨細胞への分化が進んでいるように思われた.高亜鉛食群では活性型骨芽細胞の存在があることから骨形成が盛んに行われていることが考えられた.以上の結果,亜鉛は下顎頭軟骨の成長に関与する海綿骨部を中心とした細胞の動態に影響を及ぼすことが示唆された.
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd1963.39.4_830