上顎犬歯,第一小臼歯移転の長期管理を行った1例
歯の移転は,発現頻度が0.66%以下と極めてまれな歯の位置異常である。 移転歯の治療方針を決定するうえで,移転歯をそのままの状態で配列するか,本来の位置で配列するかが大きな問題となる。移転歯とその隣在歯の根尖の位置,歯軸等を考慮し,両者の治療方法の長所,短所を十分にインフォームドコンセントした上で,治療方針を決定することが必要である。 今回,上顎左側犬歯および第一小臼歯歯胚の位置異常や萌出方向の異常を原因とする移転歯に遭遇した。患歯,患児および治療期間等を考慮した上で,上顎左側犬歯と第一小臼歯を移転した状態で配列した。 今回は早期から管理を行ったことにより,適切な時期に処置を行うことができた。...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 2000/09/25, Vol.38(4), pp.888-896 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 歯の移転は,発現頻度が0.66%以下と極めてまれな歯の位置異常である。 移転歯の治療方針を決定するうえで,移転歯をそのままの状態で配列するか,本来の位置で配列するかが大きな問題となる。移転歯とその隣在歯の根尖の位置,歯軸等を考慮し,両者の治療方法の長所,短所を十分にインフォームドコンセントした上で,治療方針を決定することが必要である。 今回,上顎左側犬歯および第一小臼歯歯胚の位置異常や萌出方向の異常を原因とする移転歯に遭遇した。患歯,患児および治療期間等を考慮した上で,上顎左側犬歯と第一小臼歯を移転した状態で配列した。 今回は早期から管理を行ったことにより,適切な時期に処置を行うことができた。その過程および治療経過を報告し,以下の様な結論を得た。 1.Hellmanの咬合発育段階IIIA期の早期に移転歯を発見し,長期に管理したため,最適な治療開始時期を選択できた。 2.移転歯の自然萌出を促すには,歯根の形成完成前の時期に必要な萌出スペースを歯列上に確保する必要があると考えられた。 3.移転歯の萌出誘導をする際には,歯根の形成状態,位置,方向や歯牙腫等の阻害因子の有無が重要であり,これらの診断を的確に行い総合的な治療方針を決定する上で,3D-CT画像は極めて有効であった。 4.Hellmanの咬合発育段階IIIB期の診断において配列順序を決定したことにより,明確な治療計画に基づき治療期間を短縮できた。 |
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ISSN: | 0583-1199 2186-5078 |
DOI: | 10.11411/jspd1963.38.4_888 |