4 第一大臼歯の先天性欠如‐切歯のサイズ

第一大臼歯(以下M1と略す)は退化の影響を受けることが最も少なく, しかも先天性欠如が皆無と言われてきた. しかし, 我々は第40回歯科基礎医学会でこの歯にも先天性欠如があり得ることを報告した. 今回はM1の先天性欠如を有する個体について, 切歯の歯冠サイズを計測し, すでに報告されている日本人の歯の大きさとの比較を試みた. 「資料および方法」:資料は男性4個体, 女性5個体でいずれも小児期から歯の治療を目的に来院した患者の石膏模型である. M1の先天欠如とみなした個体は, 歯の萌出時期がきても萌出はみられず, しかもパノラマエックス線写真撮影の結果, 顎骨内にもこの歯の歯胚が認められなかった...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2000, Vol.38 (3), p.693-693
Hauptverfasser: 山田博之, 花村肇, 杉山乗也, 荻田修二, 渡辺英雄, 近藤義郎, 中澤晃, 堀田大介, 川橋ノゾミ, 土屋友幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:第一大臼歯(以下M1と略す)は退化の影響を受けることが最も少なく, しかも先天性欠如が皆無と言われてきた. しかし, 我々は第40回歯科基礎医学会でこの歯にも先天性欠如があり得ることを報告した. 今回はM1の先天性欠如を有する個体について, 切歯の歯冠サイズを計測し, すでに報告されている日本人の歯の大きさとの比較を試みた. 「資料および方法」:資料は男性4個体, 女性5個体でいずれも小児期から歯の治療を目的に来院した患者の石膏模型である. M1の先天欠如とみなした個体は, 歯の萌出時期がきても萌出はみられず, しかもパノラマエックス線写真撮影の結果, 顎骨内にもこの歯の歯胚が認められなかった場合である. 歯の計測は1/20mm副尺付ノギスを用い, 藤田の計測基準に準じて左右側の永久歯の歯冠近遠心径を2回行い, その平均値を代表値とした. 資料はいずれも外胚葉異形成症を伴っていない個体である. 「結果ならびに考察」:男女性とも比較対象群よりも切歯のサイズは小さい場合と大きくなる場合が認められた. 一般に先天性欠如歯のある個体では, 現在歯の歯冠近遠心径が小さく, とくにM1の先天性欠如を含む個体では歯冠サイズも著しく小さい. また多数歯欠如を伴う場合が多い(窪田ら, 1988). 今回調査した個体はM1が欠如しているにも関わらず, 他歯の欠如は女性の1個体の8歯欠如を除いて4歯以内(M3以外)である. この8歯欠如個体では歯のサイズも縮小していた. しかし, 他の個体では切歯のサイズに一定の傾向は認められなかった. 今まで歯列全体に強い退化が作用した結果, M1が欠如したと考えられてきたが, 今回は必ずしもこれを支持しない結果を得た. 「結論」:第一大臼歯の先天性欠如をもつ個体は切歯のサイズが必ずしも小さくなるとはいえない. ただし, 多数歯欠如の場合は歯のサイズは縮小してくる.
ISSN:0583-1199