フッ素徐放性歯間離開用ゴムに関する研究

小児のような齲蝕感受性の高い口腔内で歯間離開を行う場合,離開用のゴム自体に抗齲蝕性や抗菌性などの機能性を付与できれば,矯正装置の装着前に積極的な歯質の強化が計れる。そこで,優れたゴム特性とフッ素徐放性を兼ね備えた歯間離開用ゴムの開発を目指して本研究に着手した。そして機械的性質とフッ素徐放性を検討するとともに,この試作エラストマー(以下試作PUゴムと略す)を貼付した歯質の耐酸性向上について,Microradiograph(MR)を用い試作したフッ素徐放性エラストマーの有用性についての評価を試みた。 試作PUゴム(NaF 1.25wt%およびSnF2≦25wt%)は現在臨床で使用されている離開用ゴ...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 2000/06/25, Vol.38(3), pp.562-575
1. Verfasser: 伊東, 理夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:小児のような齲蝕感受性の高い口腔内で歯間離開を行う場合,離開用のゴム自体に抗齲蝕性や抗菌性などの機能性を付与できれば,矯正装置の装着前に積極的な歯質の強化が計れる。そこで,優れたゴム特性とフッ素徐放性を兼ね備えた歯間離開用ゴムの開発を目指して本研究に着手した。そして機械的性質とフッ素徐放性を検討するとともに,この試作エラストマー(以下試作PUゴムと略す)を貼付した歯質の耐酸性向上について,Microradiograph(MR)を用い試作したフッ素徐放性エラストマーの有用性についての評価を試みた。 試作PUゴム(NaF 1.25wt%およびSnF2≦25wt%)は現在臨床で使用されている離開用ゴムに近い硬さ,引っ張り強さおよび伸び率を有し,また,ゴムとしても比較的良好な性質が確認された。また,エナメル質の耐酸性試験において,試作PUゴムのフッ素イオン徐放性の影響によると思われる耐酸性の向上がゴムの直下および周辺部で認められた。これらの結果から,試作PUゴムはフッ素徐放性歯間離開用ゴムとして,臨床応用が十分期待できるものと思われる。
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd1963.38.3_562