幼若永久歯の歯根吸収に関する臨床的研究

幼若永久歯の歯根吸収について調査することを目的として,外傷や歯の萌出の異常,嚢胞などに伴って観察された歯根吸収歯59歯について,吸収に関わった病変や治療と,後の転帰などの経過を分析した。 外傷歯においては,50歯に外吸収と内吸収とが観察され,以下のように5型に分類した。なお,これらの症例の経過観察期間は平均9年であった。 臨床的正常歯髄歯の外吸収は脱臼歯や歯根破折部位などに見られ,自然に停止した(I型5歯)。歯髄炎や歯髄壊死に随伴した吸収のうち,内吸収は歯内治療後は停止していた(II型4歯)。 外吸収では,歯内治療後に吸収が停止したもの(III型13歯)と,停止しなかった吸収(IV型11歯)が...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1996/12/25, Vol.34(5), pp.1215-1225
Hauptverfasser: 宮新, 美智世, 片野, 尚子, 菊池, 小百合, 松村, 木綿子, 江橋, 美穂, 竹中, 史子, 桔梗, 知明, 橋本, 吉明, 石川, 雅章, 高木, 裕三, 小野, 博志
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:幼若永久歯の歯根吸収について調査することを目的として,外傷や歯の萌出の異常,嚢胞などに伴って観察された歯根吸収歯59歯について,吸収に関わった病変や治療と,後の転帰などの経過を分析した。 外傷歯においては,50歯に外吸収と内吸収とが観察され,以下のように5型に分類した。なお,これらの症例の経過観察期間は平均9年であった。 臨床的正常歯髄歯の外吸収は脱臼歯や歯根破折部位などに見られ,自然に停止した(I型5歯)。歯髄炎や歯髄壊死に随伴した吸収のうち,内吸収は歯内治療後は停止していた(II型4歯)。 外吸収では,歯内治療後に吸収が停止したもの(III型13歯)と,停止しなかった吸収(IV型11歯)があり,さらに低位化を伴った外吸収(V型18歯)も認められた。低位化にはトンネル吸収も伴い,吸収や低位化は停止も観察された。 なお,外吸収の発現は受傷後2か月以内に最も多く,1年以内に見られ始めた。内吸収は1年以後も発現する可能性があった。なお,自家移植歯はIII型に準じた吸収を示していた。また,このほかに,萌出余地不足の症例において,上顎犬歯などの萌出にともない,隣在歯の歯根吸収がみられた。 また,含歯性嚢胞が近接した大臼歯近心根に,水平性の歯根吸収が疑われた。これらは原因と見える歯や嚢胞が除去された後は吸収停止が観察された。
ISSN:0583-1199
2186-5078
DOI:10.11411/jspd1963.34.5_1215