B-13 上顎左側犬歯の異所萌出に対する特異的対応の1症例

犬歯の異所萌出により隣接する永久歯歯根の吸収を引き起こす危険性は少ないとの報告があるものの, 現実には, 隣在歯歯根の吸収を招き, やむなく抜歯と異所萌出歯の誘導による対応を迫られることがある. 今回報告する症例は, この困難とされる歯根の吸収を被った歯の保存を生活歯髄切断と移植により解決を計った症例である. <症例>[患者]:村○隆○ 男児 [初診]:1994年1月5日(14歳3か月) [主訴]:[c 晩期残存及び[3 萌出遅延 [既往歴]:1993年に肺炎の既往がある. その他特記すべき事項はない. [口腔内所見]:[c の晩期残存 [X線所見]:[3 の歯冠が[2 の根尖にあたり歯根の吸...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1996, Vol.34 (1), p.339-339
Hauptverfasser: 福原大子, 豊島正三郎, 森主宜延
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:犬歯の異所萌出により隣接する永久歯歯根の吸収を引き起こす危険性は少ないとの報告があるものの, 現実には, 隣在歯歯根の吸収を招き, やむなく抜歯と異所萌出歯の誘導による対応を迫られることがある. 今回報告する症例は, この困難とされる歯根の吸収を被った歯の保存を生活歯髄切断と移植により解決を計った症例である. <症例>[患者]:村○隆○ 男児 [初診]:1994年1月5日(14歳3か月) [主訴]:[c 晩期残存及び[3 萌出遅延 [既往歴]:1993年に肺炎の既往がある. その他特記すべき事項はない. [口腔内所見]:[c の晩期残存 [X線所見]:[3 の歯冠が[2 の根尖にあたり歯根の吸収をきたしている [処置及び経過]:[2 の生活歯髄切断及び[c の抜歯を行い, 開窓後[3 にリンガルボタンをセットした. エラスティックにより牽引したが, [2 の根尖部が障害となり, 同歯の根尖が遠心へ傾斜するとともに誘導が困難となったため, [3 の誘導路を確保する目的で[2 を近心寄りへ移植した. その結果, [3 は良好な位置に萌出してきており, 同歯の保定及び固定をかねて, マルチブラケットにて治療を続行している. 本症例は, 当初, 左側側切歯の保存を生活歯髄切断により解決し, 同側犬歯の誘導による方法を採用したが, 誘導時に, 左側側切歯の歯根が誘導を障害したため, 同歯を誘導の妨げとならない位置に移植して誘導路を確保し良好な結果を得た. 今後の問題としては, 移植歯の根尖歯髄に問題が生じた場合の根管処置と, 被患歯の固定を考慮した補綴学的対応がある. 今回の症例より, 困難とされていた被患歯の保存の可能性を見いだせたことから今後, 保護者ならびに患者の希望を踏まえて更に検討を加えていきたい.
ISSN:0583-1199