5 小児歯科における行動科学的トレーニングの1例―歯科衛生士から小児への対応について

目的:小児歯科臨床において, 歯科的不協力児の対応に苦慮することは多く, そのような場面での歯科衛生士の果たす役割は非常に大きい. 我々は, 歯科衛生士の小児への対応技能修得を目的とした, 行動科学的トレーニングを行っている. 今回, 歯科衛生士学校学生に対し行ったトレーニングの1例と, その効果の検討について報告する. 対象, 方法:対象は, 広島大学附属歯科衛生士学校2年次の学生であり, 3ステップよりなるトレーニングを行った. まず, Levyらが作成した歯科的対応技術の項目表に沿ってレクチャーを行い, 小児への対応において困難な場面に対する紙上応答訓練を行った. 次いで, アシスタント...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1996, Vol.34 (1), p.326-327
Hauptverfasser: 永田綾, 簡妙蓉, 佐牟田毅, 三宮由紀, 正藤真紀子, 山口典子, 桑原さつき, 石川隆義, 長坂信夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:小児歯科臨床において, 歯科的不協力児の対応に苦慮することは多く, そのような場面での歯科衛生士の果たす役割は非常に大きい. 我々は, 歯科衛生士の小児への対応技能修得を目的とした, 行動科学的トレーニングを行っている. 今回, 歯科衛生士学校学生に対し行ったトレーニングの1例と, その効果の検討について報告する. 対象, 方法:対象は, 広島大学附属歯科衛生士学校2年次の学生であり, 3ステップよりなるトレーニングを行った. まず, Levyらが作成した歯科的対応技術の項目表に沿ってレクチャーを行い, 小児への対応において困難な場面に対する紙上応答訓練を行った. 次いで, アシスタントの実際の診療過程をビデオテープで記録, 再生して複数のメンバーでディスカッションを行った. メンバーのフィードバックは, アシスタントの対応の良い点にのみ焦点を当て, 肯定的評価を行った. 最後に, 対応における課題点について, ロールプレーを行った. トレーニングの有効性の検討については, トレーニングの前後にわたって自信度調査アンケート(10項目, 10段階評価)を実施した. このアンケートの信頼性(内的一貫性, 経時的安定性)と妥当性については認められており, 報告を行ってきた. トレーニング後には, 自己理解, アドバイスの獲得, モデリング, 他のメンバーとの普遍性, 対応技術の7項目よりなるトレーニング効果に関するアンケート(5段階評価)を実施した. 結果:トレーニング前の自信度調査アンケートのトータルスコアーは16点であったが, トレーニング後には56点にまで上昇し, 全ての項目にわたりスコアーは上昇していた. トレーニングの効果に関するアンケートにおいては, 7項目中6項目において4点以上の高い評価が得られた. 以上により, 本ケースにおいて, 行動科学的トレーニングは有効であったと考えられた.
ISSN:0583-1199